わた)” の例文
するとお勢は、どうしてか、急に心から真面目になッて、「あたしゃア知らないからいい……わたしゃア……そんな失敬な事ッて……」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いつはりではけれどくすとはなにを、デハわたしからまをしませう深山みやまがくれのはなのおこゝろひさして莞爾につことすれば、アレわらふてははぬぞよ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
名前が分って居るなら先ず其名前をきこう(大)もとより名前をいいますが夫より前にわたしの発見した手続きを申ます、けどが長官
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「困るの、困らないのってあなた、わたしゃこの年になるまで人のうちへ行って、あんな不取扱ふとりあつかいを受けた事はありゃしません」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
持ちたり貴殿おまへは二十歳ばかりの子息むすこあれば今度こんどうまれたりともわたし程には思ふまじと云に井筒屋ゐづつやかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とぼけなすっちゃアいけません、ありゃ私の娘だよ、わたしア三田の三角のあだやと云う引手茶屋のおかくという婆アだが、あれは私の大事な金箱娘かねばこむすめ、此の二月大火事の時深川を焼出され
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
百姓の妻 「ほんとにわたしも楽しくなつたよ。」
〈ピツコロさん〉 (新字旧仮名) / 村山籌子(著)
いいえ、放擲うっちゃッといとくれ。何だか云う事があるッていうンだから、それを……聞かないうちは……いいえ、わたしゃ……あンまり人を
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「それに、あの迷亭って男はよっぽどな酔興人すいきょうじんですね。役にも立たないうそ八百を並べ立てて。わたしゃあんな変梃へんてこな人にゃ初めて逢いましたよ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしは是よりすぐに又其浅草の氷屋で何う云う通伝つてを以てお紺を雇入たか、誰が受人だか夫を探し又愈々築地に居る母とか何とか云う者が有るならそれも探し又
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
あしかけ三ねんながあいだ松島まつしまさまがれほどつくしてくだされたとおぼしめす、わたしでさへなみだがこぼれるほどうれしきにおまへさまはいしか、さりとは不人情ふにんじようと申ものなり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しながら片隅かたすみへより何か密々ひそ/\はなあひついと半四郎のそばへより是もし息子むすこさん御前は是から何處へ行つしやると云に半四郎は何心なくわたしは是から夜通しに松山迄參りますと云つゝ胴卷どうまき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ピツコロ 「わたしはこのうちの主人だよ。」
〈ピツコロさん〉 (新字旧仮名) / 村山籌子(著)
甚樣じんさまわたしの部屋へやへもおいでなされ、玉突たまつきしてあそびますほどに、と面白おもしろげにさそひて姉君あねきみはやねがしにはたはたと障子しやうじてヽ、姉樣ねえさまこれ、と懷中ふところよりなか
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
出しても其手は勿々なか/\くはぬ夫よりは御前方も一文もらひの苦しまぎひんの盜みにこひの歌とやら文右衞門さんが不※ふと出來心できごころにて盜まれしと言つた方が罪がかるい其所はわたしが心一つで取計らひ質を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしの方だって、ぬかりはありませんやね」と鼻子はしたり顔をする。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしは一目見た時から此野郎とて言開いいひらきは出来まいと思いました目
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ぼくれかくらしければと、おもふまヽを遠慮ゑんりよもなく可愛かあいさ、左樣さうおもふてくださるはうれしけれど、其樣そのやうのこと他人ひとふてたまはるなよ、芝居しばゐ花見はなみかぬのはわたしのきにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
少しもわたしには見当が附ませんと云う様な顔を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
御新造ごしんぞおどきたるやうのあきがほして、れはまあなんことやら、なるほどおまへ伯父おぢさんの病氣びやうき、つゞいて借金しやくきんはなしもきゝましたが、いまいまわたしのうちから立換たてかへようとははなかつたはづ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かまことはない呼出よびだしており、わたしのなぞといつたら野郎やらうから心替こゝろがはりがしてかほてさへすのだから仕方しかたがない、どうであきらもの別口べつくちへかゝるのだがおまへのはれとはちが
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
せしがまたことさらにホヽとわらつてじやうさま一寸ちよつ御覽ごらんあそばせこのマア樣子やうす可笑をかしいことよと面白おもしろげにいざなはれてなんぞとばかり立出たちいづ優子いうこ八重やへ何故なぜ其樣そのやうなことが可笑をかしいぞわたしにはなんともきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひと奧樣おくさまたまわたしにはお兄樣にいさまとお前樣まへさまばかりがたよりなれど、れよりもわたしはお前樣まへさまきにて、何卒どうぞいつまでもいまとほ御一處ごいつしよりたければ、成長おほきくなりておやしき出來できとき
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
狂気きちがひの身にして見ると随分気づよいものと恨まれる、女といふものはもう少しやさしくても好い筈ではないかと立てつづけの一ト息に、おぬひは返事もしかねて、わたしは何と申てよいやら
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
狂氣きちがひにしてると隨分ずいぶんづよいものとうらまれる、をんなといふものはすこしやさしくてもはづではないかとてつゞけの一トいきに、おぬひは返事へんじもしかねて、わたしはなんと申てよいやら
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御存ごぞんわたしが歸鴈きがんきとふは我身わがみながら何故なぜらねどはなやま曉月夜あかつきづきよさては春雨はるさめ夜半よはとこなきぎるこゑわかれがしみ/″\とにしみてかなしいやうさびしいやうなまたあきちぎりを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしも一しよかんれよとてきわけもなくりし姿すがたのあくまであどけなきが不愍ふびんにて、もとよりれたのまねば義務ぎむといふすぢもなく、おんをきせての野心やしんもなけれどれより以來いらい百事萬端ひやくじばんたん
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つづいて借金の話しも聞ましたが、今が今わたしのうちから立換へようとは言はなかつたはづ、それはお前が何ぞの聞違へ、私は毛頭すこしも覚えの無き事と、これがこの人の十八番とはてもさても情なし。
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
心配しないでまじなひでもして待つがいさと慰めるやうな朋輩ほうばい口振くちぶりりきちやんと違つてわたしには技倆うでが無いからね、一人でも逃しては残念さ、私しのやうな運の悪るい者には呪も何も聞きはしない
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
心配しんぱいしないでまじなひでもしてつがいさとなぐさめるやうな朋輩ほうばい口振くちぶりりきちやんとちがつてわたしには技倆うでいからね、一人ひとりでもにがしては殘念ざんねんさ、わたしのやうなうんるいものにはまじなひなにきはしない
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)