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亘
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わた
ふりがな文庫
“
亘
(
わた
)” の例文
いうまでもなく、ここの管下では、巡察、糺弾、勘問、聴訴、追捕、囚獄、断罪、免囚など、刑務と検察行政のすべてに
亘
(
わた
)
っている。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
イヤしかしそなたの
質問
(
とい
)
は
大分
(
だいぶん
)
俺
(
わし
)
の
領分外
(
りょうぶんがい
)
の
事柄
(
ことがら
)
に
亘
(
わた
)
って
来
(
き
)
た。
産土
(
うぶすな
)
のことなら、
俺
(
わし
)
よりもそなたの
指導役
(
しどうやく
)
の
方
(
ほう
)
が
詳
(
くわ
)
しいであろう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
之
(
これ
)
に加へて
巴里
(
パリイ
)
のルウヴル及びリユクサンブルの二大博物館を観れば欧洲の絵画の古今に
亘
(
わた
)
る
精粋
(
せいすゐ
)
を概観し得たと云つて好いであらう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「ああカーボン卿、ドイツ空軍のために、こんなに
行
(
ゆ
)
き
亘
(
わた
)
って爆撃されたのでは、
借間
(
しゃくま
)
が高くなって、さぞかし市民はたいへんであろう」
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
陳列されているものは各種の工藝品や絵画彫刻に
亘
(
わた
)
っていますが、その過半数は古作品です。時代は徳川期のものが多いのです。
日本民芸館について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
微
(
び
)
に入り
細
(
さい
)
に
亘
(
わた
)
るのは学術の本義ですけれども、学生時代に色々な学説を聞かされるということは
可
(
か
)
なり厄介に感ずるものです。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
この一瞬こそ、二日間の行事の頂点であり、この一瞬の喜びこそ、去年の春が暮れて以来一年に
亘
(
わた
)
って待ちつづけていたものなのである。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
江戸末期より明治の初年に
亘
(
わた
)
って、名女形として知られた八代目岩井半四郎は、明治十五年二月、五十四歳を以て世を去った。
源之助の一生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから二月程して、私は東の島々——中央カロリンからマーシャルへ掛けての長期に
亘
(
わた
)
る土俗調査に出掛けた。調査は約二ヶ年を要した。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼は電車の窓から都会の建築の上の晴れ
亘
(
わた
)
る空をぼんやり眺めていた。来るものが来たのだが、何という静かな空なのだろう。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
夏の夜の透明な空気は青み
亘
(
わた
)
って、月の光が燐のように
凡
(
すべ
)
ての光るものの上に宿っていた。
蚊
(
か
)
の群がわんわんうなって二人に襲いかかった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
三人の対話は極めてひそかに、また長時間に
亘
(
わた
)
って、容易に果つるとは思われません。洛北岩倉の秋日の昼は、閑の閑たるものであります。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
連
(
つらな
)
り
亘
(
わた
)
る山々の薄墨の影の消えそうなのが、霧の中に
縁
(
へり
)
を
繞
(
めぐ
)
らす、
湖
(
うみ
)
は、一面の
大
(
おおい
)
なる銀盤である。その
白銀
(
しろがね
)
を磨いた布目ばかりの浪もない。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つまり時代とか流行とかを超越した民衆最高の芸術的良心を対象物として永久に
亘
(
わた
)
って完成に近付けて行かるべき民族的芸術だそうであります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
検死も済んでさあバラバラになった体を集めてみたがどうも右の手が足りない、いくらその辺を数丁にも
亘
(
わた
)
って調べても見当らないというのです。
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
この書簡集は一八四〇から一八七〇——メリメエの歿年に
亘
(
わた
)
つてゐる。(彼の「カルメン」は一八四四の作品である。)
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自分の専門の事はめつたに話さない。それでゐて、その多方面に
亘
(
わた
)
つてゐる話が
頗
(
すこぶ
)
る要領を得てゐるから、法学者の中での博識として知られてゐる。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
後で平次の言ったことですが、振袖火事にしても、吉祥寺火事にしても、二日に
亘
(
わた
)
って火は八方から起っております。
銭形平次捕物控:135 火の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
庭はもう
闇
(
やみ
)
が
亘
(
わた
)
っていたので、十何年ぶりかで庭を見る民さんは、すぐには庭のもようについては何もいわなかった。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ヨブ記に限らず聖書全体に
亘
(
わた
)
りて、その記者たちの語法が我らのそれと根本的に相違せるは忘るべからざる事である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
『多情多恨』は二年に
亘
(
わた
)
つて『読売』に掲げられた。しかし『三人妻』や『むき玉子』を書いた時代ほど、最早読者の心を動かすことは出来なかつた。
尾崎紅葉とその作品
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
下津川山の西北に在る
佐具利
(
さぐり
)
山(仮称)なども、高さは千八百米にも達しないが、東北側に懸る二条
乃至
(
ないし
)
三条の雪渓は、
孰
(
いず
)
れも十余町に
亘
(
わた
)
るであろう。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
しかしこれを恨みとして、その恨みの根を何処へ持って行くのかとなると、それはまたあまりに多岐に
亘
(
わた
)
り複雑過ぎて当時の彼には考え切れなかった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
四ヶ月余に
亘
(
わた
)
る、怪奇な冒険旅行を終えて、故国へ帰る僕は、疲労も、眠気も忘れて、元気一杯、口笛を吹いた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
絶代の女形、三都に
亘
(
わた
)
っての美男から、かくまで、
手管
(
てくだ
)
をつくした言葉を聴かされては、どのような、木石の尼御前でも、心を動かさずにはいられまい。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
千年の久しきに
亘
(
わた
)
って我々の使い
馴
(
な
)
れていた二本箸の稲扱器を、一朝にして改良した
所以
(
ゆえん
)
のものは何であったか。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
長城万里に
亘
(
わた
)
り
荒蕪
(
くわうぶ
)
落日に乱るゝの所、
悵
(
ちやう
)
たる
征驂
(
せいさん
)
をとゞめて遊子天地に
俯仰
(
ふぎやう
)
すれば、ために万巻の史書泣動し、満天の白雲
凝
(
こ
)
つて大地を圧するの思あり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼らは遅かれ早かれ死なねばならぬ。されど古今に
亘
(
わた
)
る大真理は彼らに
誨
(
おし
)
えて生きよと云う、
飽
(
あ
)
くまでも生きよと云う。彼らはやむをえず彼らの爪を
磨
(
と
)
いだ。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自然、源助町の道場は「喬之助討取事務所」の観をていして、何日にも
亘
(
わた
)
って大掛りな会議が行われている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ファラデーはリーブを徳としたのか、その交際はリーブの子の代までも続き、実に五十年の長きに
亘
(
わた
)
った。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
幾年幾十年に
亘
(
わた
)
りて、ただの一度も会見の機会なく、しかもその業務がすっかり相違しているにも係らず、彼等の間には、立派に愛情が存在し得るではないか。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
私なんぞが女の癖に教育の事をかれこれ申しては生意気に
亘
(
わた
)
りましょうが
平生
(
へいぜい
)
兄はこう申しております。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ヘルンについての一不思議は、あれほど広く多方面の文献に
亘
(
わた
)
って、日本人以上に日本のことを知っていながら、日本語をほとんど知らなかったということである。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
悟
(
さと
)
り
下
(
しも
)
は
神儒佛
(
しんじゆぶつ
)
の三道に
亘
(
わた
)
り
和學
(
わがく
)
軍學
(
ぐんがく
)
に至るまで
何
(
なに
)
一ツ知ずといふ事なき文武兼備の
秀才士
(
しうさいし
)
なり此人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
(そして相当の長さに
亘
(
わた
)
つて信教に関する力強い訓戒が語られ、最後は次の様に結んである)では、もう一度
左様
(
さよう
)
なら、愛しい妹よ、そして
何卒
(
なにとぞ
)
あなたを救ふ唯一者
ジェイン・グレイ遺文
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
拳と云ふものを目に見ない人には
一寸
(
ちよつと
)
解り難い歌かも知れぬ。手の指を種種な形にして相手と
亘
(
わた
)
り合ふのであるが、其の中に二つの手を前向けに立てて突出す形がある。
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
身に
染
(
し
)
み
込
(
こ
)
んだ
罪業
(
ざいごう
)
から、又梟に生れるじゃ。
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くにして百
生
(
しゃう
)
、二百生、
乃至
(
ないし
)
劫
(
こう
)
をも
亘
(
わた
)
るまで、この梟身を
免
(
まぬか
)
れぬのじゃ。
審
(
つまびらか
)
に諸の患難を
蒙
(
こうむ
)
りて又尽くることなし。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
紙片
(
かみきれ
)
は
果
(
はた
)
して
横罫
(
よこけい
)
の
西洋紙
(
せいやうし
)
で、
其
(
それ
)
が
拡
(
ひろ
)
げて
見
(
み
)
ると、四五
通
(
つう
)
もある。
孰
(
いづれ
)
もインキでノート
筆記
(
ひつき
)
やうの
無造作
(
むざうさ
)
な
字体
(
じたい
)
で、
最初
(
さいしよ
)
の一
通
(
つう
)
が一
番
(
ばん
)
長
(
なが
)
く、
細字
(
さいじ
)
で三
頁半
(
ページはん
)
にも
亘
(
わた
)
つてゐる。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
ゾラの書いた大部の連続小説の中に、数代に
亘
(
わた
)
るルゴン・マカール家の遺伝が
述
(
の
)
べられている。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
一人
(
ひとり
)
は
左鬢
(
さびん
)
に、
微
(
かす
)
かな
傷
(
きづ
)
に
白
(
しろ
)
鉢卷
(
はちまき
)
、
私
(
わたくし
)
は
雀躍
(
こをどり
)
しながら、
倶
(
とも
)
に
眺
(
なが
)
むる
黎明
(
れいめい
)
の
印度洋
(
インドやう
)
、
波上
(
はじやう
)
を
亘
(
わた
)
る
清
(
すゞ
)
しい
風
(
かぜ
)
は、
一陣
(
いちじん
)
又
(
また
)
一陣
(
いちじん
)
と
吹
(
ふき
)
來
(
きた
)
つて、
今
(
いま
)
しも、
海蛇丸
(
かいだまる
)
を
粉韲
(
ふんさい
)
したる
電光艇
(
でんくわうてい
)
は
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
資性
穎慧
(
えいけい
)
温和、孝心深くましまして、父君の病みたまえる間、三歳に
亘
(
わた
)
りて昼夜
膝下
(
しっか
)
を離れたまわず、
薨
(
かく
)
れさせたもうに及びては、思慕の情、悲哀の涙、絶ゆる間もなくて
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
書簡箋
(
しょかんせん
)
三枚に
亘
(
わた
)
ってビッシリ一杯と、当地ではいつ雷が鳴って、どんな具合に自分がビックリ仰天して、どんな具合に平気であったかということを仔細に書いてよこしたが
雷嫌いの話
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
現在
(
げんざい
)
に
於
(
おい
)
ては、九
州
(
しう
)
、四
國
(
こく
)
から、
陸前
(
りくぜん
)
、
陸奧
(
りくおく
)
、
出羽
(
でば
)
の
方
(
はう
)
まで
掛
(
か
)
けて三十五ヶ
國
(
こく
)
に
亘
(
わた
)
り
發見
(
はつけん
)
されて
居
(
ゐ
)
るので、
加之
(
しかも
)
横穴
(
よこあな
)
は一ヶ
所
(
しよ
)
に
群在
(
ぐんざい
)
する
例
(
れい
)
が
多
(
おほ
)
いのだから、
穴
(
あな
)
の
數
(
すう
)
を
算
(
さん
)
したら
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
その前からも
殆
(
ほとんど
)
毎年と言ってよいほど、その五、六年というもの、春毎に山へ
這入
(
はい
)
ったものである。今年こそ、咲きそろった花を、せめて
中
(
なか
)
・
上
(
かみ
)
の千本に
亘
(
わた
)
って見たいものだ。
花幾年
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
長谷川町から黄金通りへ出、茶房リラの前へ通りかかった時、玄竜は一寸覗くだけにしようと首を突き入れ一
亘
(
わた
)
り紫煙の中を見渡したが、そのとたんにわれ知らずにこりと笑った。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
独逸
(
ドイツ
)
墺太利
(
オーストリヤ
)
を貫く、イン河の上流は、
彼
(
か
)
のインスブルックから、間もなくスウィスの国境となって幾百の氷河の水を合わせて、六十
哩
(
マイル
)
に
亘
(
わた
)
るエンガディンの峡谷を形づくっておる。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
黄袗
(
くわうしん
)
は古びて
赭
(
あか
)
く、四合目辺にたなびく
一朶
(
いちだ
)
の雲は、
垂氷
(
たるひ
)
の如く
倒懸
(
たうけん
)
して満山を
冷
(
ひ
)
やす、別に風より
迅
(
はや
)
き雲あり、大虚を
亘
(
わた
)
りて、不二より高きこと百尺
許
(
ばかり
)
なるところより、
之
(
これ
)
を
翳
(
かざ
)
し
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
餘談
(
よだん
)
に
亘
(
わた
)
るが
總
(
そう
)
じて
歐米
(
おうべい
)
の
慣習
(
くわんれい
)
と
日本
(
にほん
)
の
慣習
(
くわんしふ
)
とが
全
(
まつた
)
く
正反對
(
せいはんたい
)
である
實例
(
じつれい
)
が
甚
(
はなは
)
だ
多
(
おほ
)
い。
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
私は、私の実験の輪郭を報告しただけで、殆んどその内容には
亘
(
わた
)
りませんでした。何故かというと私の実験はいま進行中なので、はたしてそれが成功するかどうかもわからないからです。
人造人間
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
『さうね、
不思議
(
ふしぎ
)
なこと』と
海龜
(
うみがめ
)
は
答
(
こた
)
へて、
其
(
そ
)
の
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
目録
(
もくろく
)
を
數
(
かぞ
)
へ
出
(
だ
)
しました、『——
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
、
古今
(
こゝん
)
に
亘
(
わた
)
れる
大海學
(
だいかいがく
)
の、それから
懶聲
(
なまけごゑ
)
を
發
(
だ
)
すこと——
懶聲
(
なまけごゑ
)
の
先生
(
せんせい
)
は
年老
(
としと
)
つた
海鰻
(
はも
)
で、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
亘
漢検準1級
部首:⼆
6画
“亘”を含む語句
連亘
行亘
亘理
亘合
亘利
亘志摩
亘殿
亘理総右衛門常年
亘理蔵人
亘長
伊丹亘
加茂川亘
古木亘
相亘
見亘