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鉢卷
取て夫婦二人を
無理に一つ駕籠に
乘是でよしとて半四郎は
向う
鉢卷片肌脱ぎ何の苦もなく
引擔ぎすた/\道を
駈ながら酒屋を
指て急ぎけり
帶は
一重で
左の
腰骨の
處でだらりと
結んであつた。
兩方の
端が
赤い
切で
縁をとつてある。
粗い
棒縞の
染拔でそれは
馬の
飾りの
鉢卷に
用ひる
布片であつた。
色白の
首筋に
紺の
腹がけ、さりとは
見なれぬ
扮粧とおもふに、しごいて
締めし
帶の
水淺黄も、
見よや
縮緬の
上染、
襟の
印のあがりも
際立て、うしろ
鉢卷きに
山車の
花一
枝