わた)” の例文
或時蘭軒が病んで久しきにわたつたので、諸家の寄する所の見舞物が枕頭に堆積せられた。蘭軒は褥中にあつて猫のかうべを撫でつつ云つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「芝浦の漁人も網を打忘れ月には厭ふいわし雲かな」といへる狂歌、天明頃の人の咏にあり。青き空の半ほど此雲白くつらなりてわたれる、風情ありて美はし。
雲のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)