わた)” の例文
「おやおやおや、誰が噂をしたのだろう。わたしはたしか嚏をしないのに、外に誰がしたというのだろう。はてナ……」
空気男 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
「……イイエ……お神さんが負うて帰らっしゃったかと思うて……わたしゃ……」
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
御免成ごめんなされて下さりませと申ければ原田いやなにも林藏に惡事があると云ではないこれさへすれば分ることゆゑ格別かくべつあんじるに及ばずと云に女房ハイそれ有難ありがたぞんじますしか日頃ひごろからわたしが異見いけん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
金二分に賣てくれろと小聲こごゑで相談し貴殿が仕組しくんだ所業だはね最早もうをつとを殺されたからはかくさず云が其仕事しごとは權現堂の土手どてで穀屋平兵衞を殺し金迄取て其翌日わたしの方へ來てお前は狼狽うろたへまはり幸手宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いはれたものかソレ貴殿おまへが幸手の町へ來たときは尾羽をは打枯うちからした素浪人すらうにんくふくはずの身を可愛相かあいさうだと云て穀平では始終しじう世話を成れおや同前どうぜんに大恩をうけた其平兵衞さんさへ殺す程の大惡人兄弟ぶんぐらゐわたしの夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)