“おそろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オソロ
語句割合
可恐29.9%
27.7%
26.6%
3.8%
2.7%
可畏2.2%
御揃2.2%
恐怖1.6%
1.1%
可懼0.5%
可怕0.5%
可怖0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
昨日一人の叔父が電話で出て来いというから、僕が店から帰りがけに寄ったサ。すると、例の一件ネ、あの話が出て、可恐おそろしい御目玉を
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
閉め切つた小さな黒いドアの列が兩側につゞくのが、ちやうどおそろしい『ブリュービアドの城』か何かの廊下のやうに見えるのだつた。
それというのが、時節柄じせつがら暑さのため、おそろしい悪い病が流行はやって、先に通った辻などという村は、から一面に石灰いしばいだらけじゃあるまいか。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
罪あっても罪にむ顔でない、汚れても汚れはせぬ、之に悪人悪女の様に思うては罰が当るとは、殆ど空おそろしい程に思い
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「中学生を相手にするのは何だかおそろしいようです」そう云う彼を先輩はあわれむように眺め
冬日記 (新字新仮名) / 原民喜(著)
明るい波濤なみ可畏おそろしい音をさせて、二人の眼前めのまえへ来ては砕けた。白い泡を残して引いて行く砂の上の潮は見る間に乾いた。復た押寄せて来た浪に乗って、多勢の船頭ははしけを出した。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「これは/\、御揃おそろひで御散歩でらつしやいまするか、オヽ、『黒』さんも御一緒ですか」と、芝生に横臥わうぐわせる黒犬にまで丁重に敬礼す、是れなん其仁そのじん、獣類にまで及べるもの
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
云から待てゐよ必ず忘るゝ事なかれと憤怒ふんぬ目眥まなじり逆立さかだつてはつたと白眼にらみ兩の手をひし/\とにぎりつめくひしばりし恐怖おそろしさに忠兵衞夫婦は白洲しらすをも打忘うちわすれアツと云樣立上りにげんとするを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おそろしき「うたがひ」は、ああみづからの身にこそ宿れ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
お繁の亡くなった頃は、私もよく行き行きして、墓畔ぼはんの詩趣をさえ見つけたものだが、一人死に、二人死にするうちに、妙に私は墓参りが苦しく可懼おそろしく成って来た。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お房も一緒に笑ううちに、逆上のぼせて来たと見えて、母親の鼻といわず、口といわず、目といわず、指を突込もうとした。枕も掻※かきむしった。人々は皆な可懼おそろしく思った。しまいには、お房は大声に泣出した。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
然し今でも真夜中にふと眼をますと酒も大略あらまし醒めていて、眼の先を児を背負おぶったお政がぐるぐる廻って遠くなり近くなり遂に暗の中に消えるようなことが時々ある。然し別に可怕おそろしくもない。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
こういう田舎道を歩いて行きながら、深い谷底の方で起る蛙の声を聞くと、妙に私はしつけられるような心持こころもちに成る。可怖おそろしい繁殖の声。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此時はかならず暴風はやて力をそへて粉にくだきたる沙礫こじやりのごとき雪をとばせ、白日も暗夜あんやの如くそのおそろしき事筆帋ひつしつくしがたし。