おそろ)” の例文
最初の舌触りで決する絶対の結果がおそろしいのである。「今日は酔えるかも知れない、いくらか胸が軽いやうだから。」
熱い風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「中学生を相手にするのは何だかおそろしいようです」そう云う彼を先輩はあわれむように眺め
冬日記 (新字新仮名) / 原民喜(著)
それにしても彼は自分自身がおそろしいと思った。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
おそろしい怕しいことに出喰でくわした後の、ゆるんだ視覚がわたしらしかった。わたしはまわりの人混みのゆるい流れにもたれかかるようにして歩いた。後姿はまだチラついたが……。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
彼はおそろしいと思った。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
だが、それにくらべると何とこれはおそろしく空白な情景なのだろう。……暫くすると、空襲警報が解除になり、つづいて警戒警報も解かれた。人々はぞろぞろと堤の路を引上げて行く。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)