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目眥
負せられては
最早了簡ならず今一度言て見よ己れ
其座は立せじと
刀追取膝立直し
怒の
目眥り
釣上て
發打と
白眼付けれ共久兵衞は少しも驚く氣色なく
否盜人に
相違なし百兩盜みし
大盜賊と大聲
揚て
鳴わめけば爰に至りて文右衞門は
耐忍兼一
刀すらりと
拔放し只一
打と
振上るに久兵衞は
云から待てゐよ必ず忘るゝ事
勿れと
憤怒の
目眥逆立つて
礑たと
白眼兩の手をひし/\と
握りつめ
齒を
喰しばりし
恐怖しさに忠兵衞夫婦は
白洲をも
打忘れアツと云樣立上り
迯んとするを