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可畏
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おそろ
ふりがな文庫
“
可畏
(
おそろ
)” の例文
「K君、
幽
(
ふか
)
い谷だね。」と私は筋違に向ひ合つて居る友達の方を見て言出した。「景色が好いなんていふところを通越して、
可畏
(
おそろ
)
しいやうな谷だね。」
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
明るい
波濤
(
なみ
)
は
可畏
(
おそろ
)
しい音をさせて、二人の
眼前
(
めのまえ
)
へ来ては砕けた。白い泡を残して引いて行く砂の上の潮は見る間に乾いた。復た押寄せて来た浪に乗って、多勢の船頭は
艀
(
はしけ
)
を出した。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『人気といふ
奴
(
やつ
)
は
可畏
(
おそろ
)
しいものです。高柳君が
彼様
(
あゝ
)
いふことになると、最早誰も振向いて見るものが有ません。多少
掴
(
つか
)
ませられたやうな連中まで、ずつと市村さんの方へ
傾
(
かし
)
いで了ひました。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
立木の儘枯れた大きな幹が行先の谷々に灰白く
露出
(
あらは
)
れて居た。
馬丁
(
べつたう
)
に聞くと、杉の爲に壓倒された樅の枯木だといふ。この
可畏
(
おそろ
)
しげな樹木の墓地の中を、一人、吾儕の方へ歩いて來る者があつた。
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「僕の生涯には暗い影が近づいて來たやうな氣がするね、何となく斯う暗い
可畏
(
おそろ
)
しい影が——君は
其樣
(
そん
)
なことを思ひませんか。尤も、僕には兄が死んでる。だから餘計に
左樣
(
さう
)
思ふのかも知れない。」
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
三吉が過去の悲惨であったも、
曾
(
かつ
)
てこういう
可畏
(
おそろ
)
しい波の中へ
捲込
(
まきこ
)
まれて行ったからで——その為に彼は若い志望を
擲
(
なげう
)
とうとしたり、落胆の極に沈んだりして、多くの暗い年月を送ったもので有った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
畏
常用漢字
中学
部首:⽥
9画
“可”で始まる語句
可
可笑
可愛
可憐
可哀
可恐
可厭
可怪
可成
可惜