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怖
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おそろ
ふりがな文庫
“
怖
(
おそろ
)” の例文
その
陶器
(
やきもの
)
が自分の所有になった気がしないといったあの
猶太
(
ユダヤ
)
人の蒐集家サムエルと同じものを新吉は自分に発見して
怖
(
おそろ
)
しくなった。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
閉め切つた小さな黒い
扉
(
ドア
)
の列が兩側につゞくのが、ちやうど
怖
(
おそろ
)
しい『ブリュービアドの城』か何かの廊下のやうに見えるのだつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
従来
(
これまで
)
に無い
難産
(
なんざん
)
で、産の
気
(
け
)
が附いてから
三日目
(
みつかめ
)
の
正午
(
まひる
)
、陰暦六月の暑い
日盛
(
ひざか
)
りに
甚
(
ひど
)
い
逆児
(
さかご
)
で生れたのが
晃
(
あきら
)
と云ふ
怖
(
おそろ
)
しい
重瞳
(
ぢゆうどう
)
の児であつた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
ロレ
手前
(
てまへ
)
こそは、
力量
(
りきりゃう
)
は
最
(
いっ
)
ち
不足
(
ふそく
)
ながら、
時
(
とき
)
も
處
(
ところ
)
も
手前
(
てまへ
)
に
不利
(
ふり
)
でござるゆゑ、
此
(
この
)
怖
(
おそろ
)
しい
殺人
(
ひとごろし
)
の
第
(
だい
)
一
番
(
ばん
)
の
嫌疑者
(
けんぎしゃ
)
でござりませう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
鮮
(
あざや
)
かな眸に滴るものはぱっと散った。表情はとっさに変る。殺すと云う言葉はさほどに
怖
(
おそろ
)
しい。——その他の意味は無論分らぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「私は
又
(
また
)
不思議な物でも通るかと思つて
悚然
(
ぞっ
)
とした、お
媼
(
ばあ
)
さん、
此様
(
こん
)
な
処
(
ところ
)
に一人で居て、昼間だつて
怖
(
おそろ
)
しくはないのですか。」
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
唇の色だけが赤くて、その初老の女を
怖
(
おそろ
)
しい形相にしていた。雪に反射して険しいほど強い色であった。朝の陽がまともに照りつけている。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ところが、アンヌはその事実から
怖
(
おそろ
)
しい発明を企てゝゐる。それは人間の有つてる
香気
(
にほひ
)
から新しい香料を取らうとする事だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
怖
(
おそろ
)
しさの行止まりで、声を立てるだけの力もなかった。それが私の門までくると、くぐり戸の
脇
(
わき
)
に私をおろして、すぐに見えなくなったのである。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
仕舞ひければ寶澤も
供
(
とも
)
して歸りぬ
彼盜取
(
かのぬすみとり
)
し毒藥は
竊
(
ひそか
)
に臺所の
縁
(
えん
)
の下の
土中
(
どちう
)
へ深く
埋
(
うづ
)
め折を
待
(
まつ
)
て用ひんと
工
(
たく
)
む心ぞ
怖
(
おそろ
)
しけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
時には
三月
(
みつき
)
、酒屋、米屋、家賃に窮するからで、彼はシルシ
半纏
(
ばんてん
)
がいちばん
怖
(
おそろ
)
しいのは、東京の四方八方に転々彼を走らせるいくらでもない借金が
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
己はまだこの世の土に
噛
(
かじ
)
り付いていたいのだ。お前に逢うての
怖
(
おそろ
)
しさに、己の
縛
(
ばく
)
が解けてしまった。どうやらこれからは本当に生きて見られそうな。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
わたしが行き合って止めでもしなかったらどんな事になったか知れやしない、思い出しても
怖
(
おそろ
)
しい事だと
仰
(
おっし
)
ゃったよ。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
幾尋
(
いくひろ
)
ともなき
深淵
(
ふかきふち
)
の上にこのたなをつりて
身
(
み
)
を
置
(
おき
)
、
一条
(
ひとすぢ
)
の
縄
(
なは
)
に
命
(
いのち
)
をつなぎとめてその
業
(
わざ
)
をなす事、
怖
(
おそろ
)
しともおもはざるは此事になれたるゆゑなるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
朝早く来る人がないだけに、ホテイ・ホテルの誰かなのかもしれないと、そのまゝ立つて扉を開けると、思ひがけなく伊庭が
怖
(
おそろ
)
しい顔をして立つてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
人間の幽霊では心細いが、雛様の幽霊が出て、それが手毬であったのは美しいばかりで少しも
怖
(
おそろ
)
しい事はない。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
が、父と兄との沈黙は、それは戦いの後の沈黙でなくして、これからもっと
怖
(
おそろ
)
しい戦いに入る前の沈黙だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
今までは
只
(
ただ
)
おぞましい
怖
(
おそろ
)
しいとのみ思っておりました
足軽
(
あしがる
)
衆の
乱波
(
らっぱ
)
も、
土一揆
(
つちいっき
)
衆の乱妨も
檀林巨刹
(
だんりんきょさつ
)
の炎上も、おのずと別の
眼
(
まなこ
)
で眺めるようになって参ります。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
のんべえ ものんべえ も
怖
(
おそろ
)
しいのんべえ がありました。その
家
(
いへ
)
では、それがために一
年
(
ねん
)
の三百六十五
日
(
にち
)
を、三百
日
(
にち
)
ぐらゐは
必
(
かなら
)
ず
喧嘩
(
けんくわ
)
で
潰
(
つぶ
)
すことになつてゐました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
聴衆は自分よりも
具眼
(
ぐがん
)
の士であると、
彼
(
かれ
)
らを信じてかかれば、かえって
怖
(
おそろ
)
しくなくなる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
源氏の上着などをそっと持って来た女房も
怖
(
おそろ
)
しがっていた。宮は未来と現在を御悲観あそばしたあまりに
逆上
(
のぼせ
)
をお覚えになって、翌朝になってもおからだは平常のようでなかった。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ハハハハ、ピストルなんて、持手によっては、そんなに
怖
(
おそろ
)
しいもんじゃありませんよ
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あの人があんな門付に出るまで
零落
(
おちぶれ
)
るということはない筈、あゝ
怖
(
おそろ
)
しや/\又も狸か狐にだまされた日にゃア、再び伯父様に顔合せることが出来ないというもの、それにしても訝しい
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
御気分が悪いと仰って、早く御休みになりましたが、その晩のように寝苦しかったことも、夢見の悪かったことも、今までに無い
怖
(
おそろ
)
しい目に御出逢なすったと、翌朝になって伺いました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの
深
(
ふか
)
い
山岳
(
さんがく
)
の
奧
(
おく
)
には
屹度
(
きつと
)
何
(
なに
)
か
怖
(
おそろ
)
しいものが
潛
(
ひそ
)
んでゐるに
相違
(
さうゐ
)
ないと
考
(
かんが
)
へた。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
それは、この巣の主が、この乱暴者のために自分の巣を
窺
(
うかが
)
われている事を知って、それを
酷
(
ひど
)
く
怖
(
おそろ
)
しがってその日から巣も卵も捨ててどこかへ逃げてしまいはしないかと思ったからであった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
死のまへに
啜泣
(
すすりなき
)
せるつやもなく
怖
(
おそろ
)
しきこゑ。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
偉大な
情𤍠
(
じやうねつ
)
と
怖
(
おそろ
)
しい直覚とを
以
(
もつ
)
て
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
美
(
うる
)
わしくも
怖
(
おそろ
)
しきは浮世なれ
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大人
(
おとな
)
には貧乏が
怖
(
おそろ
)
しく見える。子供には、尚更のことだ。子供は、勤勉な、働く、尊敬すべき貧乏に就いてあまり知らない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それでは何らの
功果
(
こうか
)
もないかと云うと大変ある。劇全体を通じての
物凄
(
ものすご
)
さ、
怖
(
おそろ
)
しさはこの一段の
諧謔
(
かいぎゃく
)
のために白熱度に引き上げらるるのである。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ロミオ なに、
追放
(
つゐはう
)
!
慈悲
(
じひ
)
ぢゃ、
死罪
(
しざい
)
と
言
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
され。
謫竄
(
さすらへ
)
の
身
(
み
)
となるは
死
(
し
)
ぬるよりも
怖
(
おそろ
)
しい。
追放
(
つゐはう
)
と
言
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
さるな。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
宗十郎夫婦はその前は
荻江節
(
おぎえぶし
)
の
流行
(
はや
)
らない
師匠
(
ししょう
)
だった。何しろ始めは生きものをいじるということが
妙
(
みょう
)
に
怖
(
おそろ
)
しくって、と宗十郎は正直に白状した。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
矮身
(
せいひく
)
で、
怖
(
おそろ
)
しく
近眼
(
ちかめ
)
な、
加之
(
おまけ
)
に、背広の
背
(
せな
)
をいつも
黄金虫
(
こがねむし
)
のやうに
円
(
まろ
)
めてゐた
良人
(
をつと
)
に、窮屈な衣冠を着けさせるのは、何としても気の毒であつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
神楽
(
かぐら
)
の
獅子舞
(
ししまい
)
などにも、東北ではヲカシといい、関西では
狂言太夫
(
きょうげんだゆう
)
というものが附いていて、あの
怖
(
おそろ
)
しい面を
被
(
かぶ
)
ったものに向かって茶かそうとする。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
今までは
只
(
ただ
)
おぞましい
怖
(
おそろ
)
しいとのみ思つてをりました
足軽
(
あしがる
)
衆の
乱波
(
らっぱ
)
も、
土一揆
(
つちいっき
)
衆の乱妨も
檀林巨刹
(
だんりんきょさつ
)
の炎上も、おのづと別の
眼
(
まなこ
)
で眺めるやうになつて参ります。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
その頃まだ十七の真珠のように、清浄な祖母の胸に、異性の
柔
(
やさ
)
しい愛情の代りに、異性の醜い圧迫や
怖
(
おそろ
)
しい慾情などが、マザマザと、刻み付けられた訳でした。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
かくて
紺屋
(
こんや
)
七兵衛かくれゐたる
戸棚
(
とだな
)
よりはひいで、さても
怖
(
おそろ
)
しきものを見つる事かな、いかに法師なればとてよくぞ
剃刀
(
かみそり
)
をあて玉ひたる、たゞ見るさへおそろしかりき
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その代りまた危険も生じます
訳
(
わけ
)
で、
怖
(
おそろ
)
しい話が伝えられております。海もまた同じことです。今お話し致そうというのは海の話ですが、先に山の話を一度申して置きます。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かなしいことが次々に思いだされた。彼の悲劇はあたらしかった。自害した父親の心境が判るような気がした。そこまで思い到ると彼にはもう
怖
(
おそろ
)
しいものは何も無かった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
凄
(
すご
)
いように荒れた邸に小人数で暮らしているのであったから、小さい人などは
怖
(
おそろ
)
しい気がすることであろうと思われた。以前の座敷へ迎えて少納言が泣きながら哀れな若草を語った。
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
首吊りの姿が、少しも
怖
(
おそろ
)
しくも
醜
(
みにく
)
くも見えないのです。ただ美しいのです。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と慾というものは
怖
(
おそろ
)
しいもので、
明
(
あく
)
る日は日の暮れるのを待っていました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
潰
(
つぶ
)
し
未
(
まだ
)
年
(
とし
)
も
行
(
ゆか
)
ぬ若者なれど
怖
(
おそろ
)
しき酒飮もあるものと思ひお前さん其樣に飮れますかと
聞
(
きゝ
)
ければ半四郎は
微笑
(
ほゝゑみ
)
ナニ一升や二升は朝飯前に
飮
(
やり
)
ますと云に亭主は
惘
(
あき
)
れ
果
(
はて
)
又五合出せしに是をも
直
(
たゞち
)
に
呑
(
のみ
)
て飯を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私はあなたの肉体を考えるのが
怖
(
おそろ
)
しい、あなたに肉体がなければよいと思われて仕方がない、私の肉体も忘れて欲しい。そして、もう、私はあなたに二度と会いたくない。誰とでも結婚して下さい。
戯作者文学論:――平野謙へ・手紙に代えて――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
『だつて、貴方は
少許
(
ちつと
)
も身体を関はないんですもの。私が随いて居なければ、どんな無理を成さるか知れないんですもの。それに、斯の山の上の陽気——まあ、私は考へて見たばかりでも
怖
(
おそろ
)
しい。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
あと見りゃ
怖
(
おそろ
)
しい、先見りゃこわい。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
怖
(
おそろ
)
しい威風を持つた機関車は
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ロミオ ではカピューレットの
女
(
むすめ
)
か? おゝ、
怖
(
おそろ
)
しい
勘定狂
(
かんぢゃうくる
)
はせ!
俺
(
おれ
)
の
命
(
いのち
)
はこりゃもう
敵
(
かたき
)
からの
借物
(
かりもの
)
ぢゃわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ふと気がつくと、こみ合つた人通りのなかを、
怖
(
おそろ
)
しく沢山な書物を抱へ込んでとぼとぼと歩いて来る男がある。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
怖
常用漢字
中学
部首:⼼
8画
“怖”を含む語句
恐怖
怖々
可怖
驚怖
怖気
畏怖
怖毛
物怖
怖怖
空怖
恐怖心
懼怖
恐怖症
怖気立
怖気付
大畏怖
利牙爪可怖
怖氣
怖畏
怖味
...