“三月”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
みつき88.4%
さんぐわつ5.1%
さんがつ2.2%
やよい2.2%
やよひ0.7%
さんげつ0.7%
みかづき0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その頃、わたしはかなり忙がしい仕事を持っていたので、どうかすると三月みつきも四月も半七老人のところへ御無沙汰することがあった。
半七捕物帳:27 化け銀杏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
三月さんぐわつのはじめ、御近所ごきんじよのお醫師いしやまゐつて、つゝましく、しをらしく、たゞあま見榮みばえのせぬをとこうでをあらはにして、神妙しんめう種痘しゆとうませ
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やま陽炎かげらふえてきます。ところによつて時季じきはむろんちがひますが、東京附近とうきようふきんでは三月さんがつ中旬頃ちゆうじゆんごろから五月頃ごがつごろまでに、します。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
思ひ切りたる道なれど、今を限りの浪の上、さこそ心細かりけめ、三月やよいの末の事なれば春も既に暮れぬ。海上遥かに霞こめ浦路の山もかすかなり。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
三月やよひにもなりぬ。金忠、豊雄夫婦にむかひて、都わたりには似るべうもあらねど、二四八さすがに紀路きぢにはまさりぬらんかし。二四九名細なぐはしの吉野は春はいとよき所なり。
一行が土手町に下宿した後三月さんげつにして暴風雨があった。弘前の人は暴風雨を岩木山の神がたたりすのだと信じている。神は他郷の人が来て土着するのをにくんで、暴風雨を起すというのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あたりは薄暗うすぐらくなり家の方ではあかりがつきました。樋にひっかかっている羽子はだんだん心細くなりました。屋根の上の空には三月みかづきが見え、星がかがやいてきました。とうとう夜になったのです。
屋根の上 (新字新仮名) / 原民喜(著)