“海棠”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
かいどう80.6%
かいだう19.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
海棠かいどうはいつでも雨を待つている花であつた。あでやかな色に一杯の憂をためて、上を向かないで、いつもうつむいて、雨を待つてる花であつた。
雑草雑語 (新字旧仮名) / 河井寛次郎(著)
白く塗った壁が鏡のようにてらてらと光って、窓の外には花の咲き満ちた海棠かいどうの枝が垂れていて、それが室の内へもすこしばかり入っていた。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
床に海棠かいどうがいけてあった。春山の半折はんせつが懸かっていた。残鶯ざんおう啼音なきねが聞こえて来た。次の部屋で足音がした。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何となく私にはまだ眠っていらっしゃらない気がする。視線のゆくところにあの海棠かいどうの鉢がほんのり赤い花びらをもって置かれてあるように思います。
杉の木の二、三本あった庭には、赤坂からもって来た、乙女椿おとめつばきや、紅梅や、海棠かいどうなどが、咲いたり、つぼみふくらんだりした。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
海棠かいだうの露をふるふや物狂ものぐるひ」と真先まっさきに書き付けて読んで見ると、別に面白くもないが、さりとて気味のわるい事もない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
海棠かいだうの露をふるふや物狂ものぐるひ」の下にだれだか「海棠の露をふるふや朝烏あさがらす」とかいたものがある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
垣に朝顔、藤豆を植ゑ、蓼を海棠かいだうもとに、蝦夷菊唐黍を茶畑の前に、五本いつもと三本みもとつちかひつ。
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
——その牡丹は、けふもまだあちこちに咲き殘つてゐる椿、木瓜ぼけ海棠かいだう、木蓮、蘇芳すはうなどと共に、花好きの妻の母が十年近くも一人で丹精した大事な植木です。
行く春の記 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
大木の白木蓮しろもくれん玉椿たまつばきまき海棠かいだう、黒竹、枝垂しだれ桜、大きな花柘榴はなざくろ、梅、夾竹桃けふちくたう、いろいろな種類の蘭の鉢。