“春寒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はるさむ79.2%
しゆんかん12.5%
はるさ4.2%
しゅんかん4.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
突然こんな話を聞かされた私も、いよいよ広い座敷の春寒はるさむが襟元まで押寄せたような心もちがして、「成程なるほど」と云う元気さえ起らなかった。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
夜哭きする食用蛙風にゐて春寒しゆんかんなれや咽喉のみどつづかず
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
笑うと口のおくがくらく見えた年よりのことである。春寒はるさむの道ばたに、ただの日光をうけたつぼみをふくらませていた山吹である。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
将軍に従った軍参謀の一人、——穂積ほづみ中佐ちゅうさくらの上に、春寒しゅんかん曠野こうやを眺めて行った。が、遠い枯木立かれこだちや、路ばたに倒れた石敢当せきかんとうも、中佐の眼には映らなかった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)