“囀”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さえず68.5%
さへづ16.2%
さえ5.1%
さえずり3.0%
てん2.1%
さへ1.7%
さへづり0.9%
さいず0.4%
さえづ0.4%
さえづり0.4%
ささや0.4%
さへず0.4%
サヘヅ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
石橋を渡る駄馬の蹄の音もした。そして、満腹の雀はたるんだ電線の上で、無用なさえずりを続けながらも尚おいよいよふくれて落ちついた。
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
剪刀はさみの刃音が頭の天辺てつぺんで小鳥のやうにさへづつてゐるのを聞きながら、うと/\としてゐると、突如だしぬけに窓の隙間から号外が一つ投げ込まれた。
三寸の緑から鳴きはじめた麦の伶人れいじんの雲雀は、麦がれるぞ、起きろ、急げと朝未明あさまだきからさえずる。折も折とて徴兵ちょうへいの検査。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
末造はその話の内容を聴くよりは、かごに飼ってある鈴虫の鳴くのをでも聞くように、可哀らしいさえずりの声を聞いて、覚えず微笑む。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
金粉きんぷんの日をあびて小鳥が飛びかい、樹上に胸をふくらまして千てんてんする。万物がみないきいきとよみがえったのだ。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
七月が來て觀音樣の晩になれば、町のわかい娘たちはいつも奇麗な踊り小屋をこさへて、華やかな引幕をひきその中で投げやりな風俗のうき々とさへづりかはしながら踊つた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
まことの歌である。島崎氏の歌は森の中にこもる鳥の歌、その玲瓏のさへづり瑞樹みづき木末こずゑまで流れわたつて、若葉の一つ一つを緑の聲にかさずば止まなかつた。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「メネーメネー。サンキュー。ホワ。ユウワ。カインド」と片言の英語をさいずりながらチョイとつまんで
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
が、くるしみはすこしもない。ただむねつめたくなると、一そうあたりがしんとしてしまつた。ああ、なんしづかさだらう。この山陰やまかげやぶそらには、小鳥ことりさえづりにない。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あの明るい五月の新緑! 何も彼も新しく生き返つた様なあの日の光! それに林の中に透き通る様な駒鳥の高いさえづり! 実際、春の温泉場としては、あそこに越すところはない様な気がした。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
ヂュリ いなうとや? はまだきゃせぬのに。こはがってござるおまへみゝきこえたは雲雀ひばりではなうてナイチンゲールであったもの。夜毎よごと彼處あそこ柘榴じゃくろて、あのやうにさへずりをる。
勧学院クワンガクヰンスヾメ蒙求モウギウサヘヅル」ということわざがありました。今でいえば「大学の雀マルクスを囀る」といったようなものです。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)