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囀
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さへづ
ふりがな文庫
“
囀
(
さへづ
)” の例文
剪刀
(
はさみ
)
の刃音が頭の
天辺
(
てつぺん
)
で小鳥のやうに
囀
(
さへづ
)
つてゐるのを聞きながら、うと/\としてゐると、
突如
(
だしぬけ
)
に窓の隙間から号外が一つ投げ込まれた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
助十 手前の方がよつぽど無駄口を
利
(
き
)
いてゐやあがる。河岸の
切見世
(
きりみせ
)
でぺちやくちや
囀
(
さへづ
)
つてゐた癖がぬけねえので、近所となりは大迷惑だ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其
(
その
)
囀
(
さへづ
)
る
聲
(
こゑ
)
を
壓
(
あつ
)
し
去
(
さ
)
らうとして
互
(
たがひ
)
の
身體
(
からだ
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
え飛び越え
鳴
(
な
)
き
立
(
た
)
てるので
小勢
(
こぜい
)
な
雲雀
(
ひばり
)
はすつとおりて
麥
(
むぎ
)
や
芒
(
すゝき
)
の
根
(
ね
)
に
潜
(
ひそ
)
んで
畢
(
しま
)
ふ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
山の鳥どもも
二六九
そこはかとなく
囀
(
さへづ
)
りあひて、木草の花色々に咲きまじりたる、同じ山里ながら目さむるここちせらる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
されば竹に
囀
(
さへづ
)
る
舌切雀
(
したきりすゞめ
)
、月に住む
兎
(
うさぎ
)
の
手柄
(
てがら
)
、
何
(
いづ
)
れか
咄
(
はなし
)
に
洩
(
もれ
)
ざらむ、力をも入れずして
顋
(
おとがひ
)
のかけがねを
外
(
はづ
)
させ、高き
華魁
(
おいらん
)
の顔をやはらぐるも
是
(
これ
)
なり。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
囀
(
さへづ
)
るやうに言つて女房は、茶や菓子を運んで來た。狸が
腹皷
(
はらづつみ
)
を打つてゐる其の腹のところに灰を入れた
煙草盆代
(
たばこぼんがは
)
りの火鉢は、前から
其處
(
そこ
)
にあつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
人
(
ひと
)
の
笑
(
わら
)
ふのを
見
(
み
)
ると
獣
(
けだもの
)
が
大
(
おほ
)
きな
赤
(
あか
)
い
口
(
くち
)
をあけたよと
思
(
おも
)
つておもしろい、みいちやんがものをいふと、おや
小鳥
(
ことり
)
が
囀
(
さへづ
)
るかトさう
思
(
おも
)
つてをかしいのだ。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄着になつて、急に活々とした娘達の
囀
(
さへづ
)
りや、遠い祭太鼓の
稽古
(
けいこ
)
の音などを聽くと、江戸つ子達の胸はときめきます。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
まだ道のほとりには、ぺんぺん草の小さな三角の実が見られ、うすぐもりの空には、季節おくれの
雲雀
(
ひばり
)
が
囀
(
さへづ
)
つてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
しかもあの
四十雀
(
しじふから
)
は、その間さへ何羽となく、さながら
楊花
(
やうくわ
)
の飛びちるやうに、絶えず「きりしとほろ」の頭をめぐつて、嬉しげに
囀
(
さへづ
)
り
交
(
かは
)
いたと申す。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と言うと、「さへづる春は」(
百千鳥
(
ももちどり
)
囀
(
さへづ
)
る春は物ごとに改まれどもわれぞ
古
(
ふ
)
り
行
(
ゆ
)
く)とだけをやっと小声で言った。
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
最後におもなる女優又來りて、それの詞の韻脚は
囀
(
さへづ
)
りにくし、あの韻をば是非とも
阿
(
あ
)
のこゑにして賜はれといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
花と、花にそゝぐ雨と、静かな蛙の声と、野に
囀
(
さへづ
)
る雲雀の唄と、塵埃を捲きあげる風とを持つて……。または花見る人の群と、雑沓する電車とを持つて……。
解脱非解脱
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
元來
(
ぐわんらい
)
麻雀
(
マアジヤン
)
とは
雀
(
すゞめ
)
の
義
(
ぎ
)
で、
牌
(
パイ
)
のかち
合
(
あ
)
ふ
音
(
おと
)
が
竹籔
(
たけやぶ
)
に
啼
(
な
)
き
囀
(
さへづ
)
る
雀
(
すゞめ
)
の
聲
(
こゑ
)
に
似
(
に
)
てゐるから
來
(
き
)
たといふ
語源
(
ごげん
)
を
信
(
しん
)
じるとすれば、やつぱり
紫檀
(
したん
)
の
卓子
(
テーブル
)
でぢかに
遊
(
あそ
)
ぶといふのが
本格的
(
ほんかくてき
)
で
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
カナリヤは南
独逸
(
ドイツ
)
訛
(
なまり
)
まじりの媼の言葉にいつも
敏捷
(
びんせふ
)
に反応した。この小鳥は既に満十五歳の齢で、片足が利かなくなつてゐた。また、活溌に
囀
(
さへづ
)
るやうなことももうなかつた。
日本媼
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そして部屋の中にも軒端にもいつぱいに眼白籠が懸けてあり、とり/″\に
囀
(
さへづ
)
り交してゐた。部屋の中には酌婦あがりとも見らるる色の黒い三十年増が一人坐つて針をとつてゐた。
梅雨紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
すぐ
後
(
うしろ
)
の寺の門の
屋根
(
やね
)
には
雀
(
すゞめ
)
と
燕
(
つばめ
)
が絶え
間
(
ま
)
なく
囀
(
さへづ
)
つてゐるので、
其処此処
(
そここゝ
)
に
製造場
(
せいざうば
)
の
烟出
(
けむだ
)
しが
幾本
(
いくほん
)
も立つてゐるに
係
(
かゝは
)
らず、
市街
(
まち
)
からは遠い春の
午後
(
ひるすぎ
)
の
長閑
(
のどけ
)
さは充分に
心持
(
こゝろもち
)
よく
味
(
あぢは
)
はれた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
小鳥等が今花で眞白になつてゐる果樹園の樹の間に
囀
(
さへづ
)
つてゐた。その枝は庭の一方の側を
圍
(
かこ
)
んだ塀の上に、白い花環のやうに垂れてゐた。馬車の馬は、時々狹いかこひの中で足踏みをした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
少し
甘
(
あま
)
ツたるいやうな點はあツたけれども、調子に響があツて、好く
徹
(
と
)
ほる、そして
優
(
やさ
)
しい聲であツた「
恰
(
まる
)
で小鳥が
囀
(
さへづ
)
ツてゐるやうだ。」と思ツて、周三は、お房の
饒舌
(
しやべ
)
ツてゐるのを聞いてゐると
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
或時もやつて来てその目白が餌を食べたり水を浴びたり高音に
囀
(
さへづ
)
つたりしてゐるのを見て、有難い/\これもみな仏の慈悲恩徳のお蔭だといつて、その鳥籠に向つて頻りに合掌念仏したものだつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
彼
(
かれ
)
は
晝
(
ひる
)
には
室内
(
しつない
)
を
窓
(
まど
)
から
窓
(
まど
)
に
往來
(
わうらい
)
し、
或
(
あるひ
)
はトルコ
風
(
ふう
)
に
寐臺
(
ねだい
)
に
趺
(
あぐら
)
を
坐
(
か
)
いて、
山雀
(
やまがら
)
のやうに
止
(
と
)
め
度
(
ど
)
もなく
囀
(
さへづ
)
り、
小聲
(
こゞゑ
)
で
歌
(
うた
)
ひ、ヒヽヽと
頓興
(
とんきよう
)
に
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
したり
爲
(
し
)
てゐるが、
夜
(
よる
)
に
祈祷
(
きたう
)
をする
時
(
とき
)
でも、
猶且
(
やはり
)
元氣
(
げんき
)
で
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼は路傍の小ざつぱりとした
珈琲店
(
コーヒーてん
)
に
這入
(
はい
)
つた。客は一人も無く暖炉台の上の蓄音器の傍に赤く塗つた鳥籠が置かれ、その中で目白が盛んに
囀
(
さへづ
)
つてゐる。彼はちよつと家の小鳥と妻の顔を思ひ出した。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
友
(
とも
)
囀
(
さへづ
)
りの
喧
(
かしま
)
しきならで
客足
(
きやくあし
)
しげき
呉服店
(
ごふくみせ
)
あり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
姿
(
すがた
)
を見せぬ鳥の
囀
(
さへづ
)
りの
メランコリア
(旧字旧仮名)
/
三富朽葉
(著)
眼
(
め
)
ふたげば鳥は
囀
(
さへづ
)
る。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
小藪で
囀
(
さへづ
)
る
朝おき雀
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
春
(
はる
)
のやうな
日
(
ひ
)
に
騙
(
だま
)
されて
雲雀
(
ひばり
)
は、そつけない三
稜形
(
りようけい
)
の
種
(
たね
)
が
膨
(
ふく
)
れつゝまだ一
杯
(
ぱい
)
に
白
(
しろ
)
い
蕎麥畑
(
そばばたけ
)
やそれから
陸稻畑
(
をかぼばたけ
)
の
上
(
うへ
)
に
囀
(
さへづ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
僕
(
ぼく
)
眠
(
ねむ
)
い
時
(
とき
)
、うつとりしてる
時
(
とき
)
なんぞは、
耳
(
みみ
)
ン
処
(
とこ
)
に
来
(
き
)
て、チツチツ
チて
(
ママ
)
、
何
(
なに
)
かいつて
聞
(
き
)
かせますのツてさういふとね、⦅
詰
(
つま
)
らない、そりや
囀
(
さへづ
)
るんです。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鋏
(
はさみ
)
の音、水の音、新聞紙を拡げる音、——その音の中に
交
(
ま
)
じるのは、籠一ぱいに飛びまはる、お前たちの
囀
(
さへづ
)
り声、——誰だい、今
親方
(
おやかた
)
に挨拶した
新造
(
しんぞ
)
は?
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
われはその狐の如く、ハツバス・ダアダアに聞きたるダンテの難を
囀
(
さへづ
)
り出し、その代にはいたくペトラルカを讚め稱へき。露肆の主人は聞
畢
(
をは
)
りて。さなりさなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「いえ、死ぬ少し前まで、元氣で
囀
(
さへづ
)
つて居ましたよ。——お辰が
摺
(
す
)
り
餌
(
ゑ
)
をやると、すぐ死んださうで」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
目の前の麦の中から、
雲雀
(
ひばり
)
がとび出して、少しあがつていつたかと思ふと、
囀
(
さへづ
)
りはじめた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
鶯の昔を恋ひて
囀
(
さへづ
)
るは
木
(
こ
)
づたふ花の色やあせたる
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
唯、
雲雀
(
ひばり
)
が高く
囀
(
さへづ
)
つて空に上つた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
疲れたる鳥は
囀
(
さへづ
)
る。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
春
(
はる
)
を
野木
(
のぎ
)
にも
囀
(
さへづ
)
る。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
雲雀
(
ひばり
)
囀
(
さへづ
)
る
別後
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
頬白
(
ほゝじろ
)
は
智恵
(
ちゑ
)
のある
鳥
(
とり
)
さしにとられたけれど、
囀
(
さへづ
)
つてましたもの。ものをいつて
居
(
ゐ
)
ましたもの。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鷄の聲、雀の
囀
(
さへづ
)
り、曉の空氣は春ながら肌に泌みて、街はもう、彼方此方で起き出した樣子
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
薄明い林の中からは、時々風とは云へぬ程の風が、気軽さうな
囀
(
さへづ
)
りを漂はせて来た。
山鴫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鳥は
囀
(
さへづ
)
る。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
門前の
雀羅
(
じやくら
)
蒙求
(
もうぎう
)
を
囀
(
さへづ
)
ると説く先生あれば、
燎原
(
れうげん
)
を焼く火の如しと辯ずる
夫子
(
ふうし
)
あり。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今朝
(
けさ
)
……と
云
(
い
)
ふがお
午
(
ひる
)
ごろ、
炬燵
(
こたつ
)
でうと/\して
居
(
ゐ
)
ると、いつも
來
(
き
)
て
囀
(
さへづ
)
る、おてんばや、いたづらツ
兒
(
こ
)
の
雀
(
すゞめ
)
たちは、
何處
(
どこ
)
へすツ
飛
(
と
)
んだか、ひつそりと
靜
(
しづ
)
まつて、チイ/\と、
甘
(
あま
)
えるやうに
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何處からともなく聞える小鳥の
囀
(
さへづ
)
りや、ほんのりと
漂
(
たゞよ
)
ふ梅の花の匂ひをなつかしむともなく、江戸開府以來と言はれた捕物の名人錢形の平次は、縁側に立つて斯うぼんやり眺めてゐたのです。
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それぎり
少時
(
しばらく
)
は夕影の木々に、ぱつたり
囀
(
さへづ
)
りが途絶えてしまつた。
山鴫
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小鳥が朝の
營
(
いとな
)
みにいそしむ
囀
(
さへづ
)
りが聞えます。
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
囀
漢検1級
部首:⼝
21画
“囀”を含む語句
百囀
春鶯囀
高囀
囀々
囀出
囀啼
囀声
宛囀
油囀
瑠璃囀
百々囀
空囀
莫才人囀