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囀
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さえ
ふりがな文庫
“
囀
(
さえ
)” の例文
三寸の緑から鳴きはじめた麦の
伶人
(
れいじん
)
の雲雀は、麦が
熟
(
う
)
れるぞ、起きろ、急げと
朝未明
(
あさまだき
)
から
囀
(
さえ
)
ずる。折も折とて
徴兵
(
ちょうへい
)
の検査。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
こんな話に時の移るのを忘れている
中
(
うち
)
に、庭に
囀
(
さえ
)
ずる
小禽
(
ことり
)
の声も止んで、冬の日影は
余
(
よ
)
ほど薄くなった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
囀
(
さえ
)
ずるということは今日の鳥屋の意味では、雀には全くないようにも思われるが、これは本来は雀などから始まった語らしいから、現在の用法が変っているのである。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
永久に
囀
(
さえ
)
ずる小鳥と共に歌い暮して
蕗
(
ふき
)
とり
蓬
(
よもぎ
)
摘み、紅葉の秋は野分に穂揃うすすきをわけて、宵まで鮭とる
篝
(
かがり
)
も消え、谷間に友呼ぶ鹿の音を外に、
円
(
まど
)
かな月に夢を結ぶ。
アイヌ神謡集
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
日数
(
ひかず
)
が立つにしたがって文鳥は
善
(
よ
)
く
囀
(
さえ
)
ずる。しかしよく忘れられる。或る時は
餌壺
(
えつぼ
)
が
粟
(
あわ
)
の
殻
(
から
)
だけになっていた事がある。ある時は
籠
(
かご
)
の底が
糞
(
ふん
)
でいっぱいになっていた事がある。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
禽
(
とり
)
の、朗かに
囀
(
さえ
)
ずる声は、峰から峰へと火がつくようである。寝泊りした小舎の頭の、白花の咲く、ノリウツギの間からも起る。サルオガセの垂れる針葉樹の間からも、同じように起る。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
火の形に熱の意あれば水の形にも冷の意あり。されば火を見ては熱を思い、水を見ては冷を思い、梅が枝に
囀
(
さえ
)
ずる鶯の声を聞ときは
長閑
(
のどか
)
になり、秋の葉末に
集
(
すだ
)
く虫の音を聞ときは哀を催す。
小説総論
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「空は美しく晴れ渡り、小鳥は楽しげに
囀
(
さえ
)
ずって居りますが、人は——」
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
天気晴朗、鳥の空に
囀
(
さえ
)
ずる日に、何ぞ明日のことを悩まんやという、極めて楽天的な現実思想は、古来から日本人に一貫している。故に日本人は、宗教的な気風や哲学的の
瞑想
(
めいそう
)
を全く持たない。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
春恋し、春恋しと
囀
(
さえ
)
ずる鳥の数々に、耳
側
(
そばだ
)
てて
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
隠れの翼の色を見んと思えば、窓に向わずして壁に切り込む鏡に向う。
鮮
(
あざ
)
やかに写る羽の色に日の色さえもそのままである。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
朝々ごとに庭の霜柱が深くなる。晴れた日にも珍しい小鳥が
囀
(
さえ
)
ずって来ない。
郊外生活の一年:大久保にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ほーー、ほけっーきょうーと、つづけ
様
(
さま
)
に
囀
(
さえ
)
ずる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
囀
漢検1級
部首:⼝
21画
“囀”を含む語句
百囀
春鶯囀
高囀
囀々
囀出
囀啼
囀声
宛囀
油囀
瑠璃囀
百々囀
空囀
莫才人囀