さへづり)” の例文
まことの歌である。島崎氏の歌は森の中にこもる鳥の歌、その玲瓏のさへづり瑞樹みづき木末こずゑまで流れわたつて、若葉の一つ一つを緑の聲にかさずば止まなかつた。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
四十からの色彩ある羽を見ることも稀ではなかつた。春は鶯が私の籠飼ひのものででもあるかのやうにして家の周囲を去らずに好い声を立てた。何うかするとほゝじろの細かいさへづりなどもきかれた。
中秋の頃 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)