“放下”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほうげ33.3%
ほうか14.8%
ほか14.8%
はうげ11.1%
ほけ7.4%
うっちゃ3.7%
3.7%
ぶらさ3.7%
ほったらか3.7%
ほつたらか3.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三四郎はハンドルをもったまま、——顔を戸の影から半分部屋の中に差し出したままこの刹那せつなの感にみずからを放下ほうげし去った。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
瘡家そうけとよばれる田舎医者、あやしげな祈祷師、遊芸人の放下ほうかや、暮露ぼろ(虚無僧)、曲舞くせまい猿楽師さるがくしといったようなものもある。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし両手を門に掛けると、すぐに、これは少し気短かに過ぎると感じて、出しかけた手を引込め、埃のたくさん溜った布簾カーテン放下ほかした。
幸福な家庭 (新字新仮名) / 魯迅(著)
とかく此様こんな変な文句が額なんぞには書いてあるものだ、と放下はうげして仕舞つて、又そこらを見ると、床の間では無い、一方の七八尺ばかりの広い壁になつてゐるところに
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
放下ほけたる空隙あなより践外ふみはずして、ひひおおかみあえなくも
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかし万一ひょっともし盗んでいたとすると放下うっちゃって置いてはあとが悪かろうとも思ったが、一度見られたら
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
三四郎は握りハンドルつた儘、——かほを戸のかげから半分部屋のなかに差し出した儘、此刹那の感に自己みづから放下し去つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
薄黒く大地にせまる夜の中途に、煮え切らぬ星が路頭に迷って放下ぶらさがっている。柱とつらなり、甍と積む万点の燄はさかしまに天をひたして、寝とぼけた星のまなこを射る。星の眼は熱い。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お増と差し向いの無駄話や花などに、うかうかした四日や五日はじきに過ぎてしまったある日の晩方、お雪はふと憶い出したように、毎日火鉢の傍に放下ほったらかしてあった煙管きせるを袋に収めて出て行った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その弟が津島に対して金銭上で、ちよつとずるいことをやつた。預けたものを質へ入れて、放下ほつたらかしておいたのが、津島の気を悪くした。
風呂桶 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)