“ぶらさ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
垂下30.8%
振下23.1%
揺下15.4%
吊下7.7%
振垂7.7%
振提7.7%
放下7.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
細い首に襟捲きを捲いて、角帯の下から重い金時計を垂下ぶらさげ、何事もなさそうな顔をして入って来た。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
健三は比田の振下ぶらさげている金時計と金鎖の事を思い出した。兄はそれを天麩羅てんぷらだろうといって陰で評していたが、当人はどこまでも本物らしく見せびらかしたがった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
或時は、露わに片手に林檎りんごを握って、片手に青菜を揺下ぶらさげて帰る。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
支那の伍廷芳が全権公使として米国にとゞまつてゐた頃、ある日市俄古シカゴ招待せうだいせられた事があつた。伍廷芳は尻尾のやうな弁髪べんぱつを後に吊下ぶらさげながら出掛けて往つた。
そのあとより続いて出てお出でなさるはいずれも胡麻塩ごましお頭、弓と曲げても張の弱い腰に無残やから弁当を振垂ぶらさげてヨタヨタものでお帰りなさる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
海松みるばかり打上げられる、寂しい秋の晩方なんざ、誰の発議だったか、小児が、あの手遊おもちゃのバケツを振提ぶらさげると、近所の八百屋へ交渉して、豌豆豆えんどうまめを二三合……お三どんが風呂敷で提げたもんです。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
薄黒く大地にせまる夜の中途に、煮え切らぬ星が路頭に迷って放下ぶらさがっている。柱とつらなり、甍と積む万点の燄はさかしまに天をひたして、寝とぼけた星のまなこを射る。星の眼は熱い。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)