“ぶらさが”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
垂下40.0%
吊下35.0%
振下10.0%
揺下10.0%
振垂5.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あわたゞしい電車の吊皮に垂下ぶらさがりながら、晴代はつくづく思ふのだつた。それもさう大した慾望ではなかつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
女はひとりへやの中に坐って、仕事をしていた。赤いただれた眼のようなランプが、切れそうな細い針金に吊下ぶらさがっている。家の周囲には森林がある。夜は、次第にこの一つ家を襲って来た。
森の暗き夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かすかに小さい、楓の樹のこんもり葉の繁ったのが見えて、その緑色が濡れているのに、太陽がさして、空があおく晴れた処に、キラキラとうつくしいものが振下ぶらさがって……それにね、白い手で
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
講義筆記をメカに暗誦してやつと卒業証書を握つたのを鬼の首でも取つたやうに喜んで、得意が鼻頭はなのさき揺下ぶらさがつてる。何ぞといふと赤門の学士会のと同類の力を頼りにして威張たがる。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
此隙このひまに私は母と談判を始めて、今晩一晩泊めて遣ってと、雪洞ぼんぼりを持った手に振垂ぶらさがる。母は一寸ちょっと渋ったが、もう斯うなっては仕方がない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
動物的の愛なんぞは何処かの隅にそっしまって置き、例の霊性の愛とかいうものをかつだして来て、薄気味悪い上眼を遣って、天から振垂ぶらさがった曖昧あやふやな理想の玉をながめながら
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)