吊下ぶらさが)” の例文
由「旦那、只何うもわっしが今日驚きましたのは、のツク乗りで、何うもさかさまに紐へ吊下ぶらさがって重次郎さんがさがって参ります処には驚きました」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女はひとりへやの中に坐って、仕事をしていた。赤いただれた眼のようなランプが、切れそうな細い針金に吊下ぶらさがっている。家の周囲には森林がある。夜は、次第にこの一つ家を襲って来た。
森の暗き夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
賽銭箱さいせんばこ。梅「成程なるほどみんながお賽銭さいせんげるんで手を突込つツこんでも取れないやうに…うま出来できますなア…あのむかうに二つ吊下ぶらさがつてますのは…。近江屋「あれは提灯ちやうちんよ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
各自の手に一つずつ持った提燈は、宙に吊下ぶらさがっているように動くともなく動いた。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さア何うしたのだろう鮮血淋漓ちみどりちがい、一人は吊下ぶらさがって居るから驚きまして、隣と云っても遠うございますから駈出して人をあつめて来ましたが、此の儘に棄て置く訳にもきません
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鼠の喰い破った穴が明いていて蜘蛛の巣が天井張にかかって吊下ぶらさがっているのを見たばかり……次に私は畳の上を検べて見たが、これとて、湿気臭いばかりで隅の足跡の触らぬ方が白くかびている。
老婆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
渋団扇しぶうちわ吊下ぶらさがり、風を受けてフラ/\あおって居りまする、これは蠅除はえよけであると申す事で。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兄い此奴こいつ吊下ぶらさがって行けば大丈夫でえじょうぶだが己は行った事がねえからおめえ行ってくんねえな
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
の時にわしが筏の上荷拵うわにごしらえをして居た処へ、山の上からち落ちて来た婦人が藤蔓の間へ引懸って髪の毛エからみ附いて、吊下ぶらさがって居たあぶねとこを助けて、身内に怪我はねえかと漸々だん/″\様子を聞くと
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
またはりには戻天るいてんといって一打ひとうちで人を殺す術があるということは聞いて居りますが、それまでの修業をいたしませんから、殺す方角がつきませんが、眼の前に吊下ぶらさがっている百両の金を取損とりそこなうのも残念と
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)