“悄然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しょうぜん64.2%
しょんぼり15.6%
しよんぼり7.0%
せうぜん6.6%
しようぜん1.2%
しおしお0.8%
しょげ0.8%
しよげ0.8%
すごすご0.8%
しほしほ0.4%
しほ/\0.4%
しよ0.4%
しを/\0.4%
ひつそり0.4%
ぽつさり0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
軽くねじあげてふたりをなわにしたところへ、歯ぎしりかみながら悄然しょうぜんと現われた顔がうしろに見えました。あば敬とその一党です。
右門捕物帖:30 闇男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
偶々たまたま道に迷うて、旅人のこのあたりまで踏み込んで、この物怖しの池のほとりに来て見ると、こは不思議なことに年若い女が悄然しょんぼりたたずんで
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜もすがら枕近くにありて悄然しよんぼりとせし老人二人のおもやう、何處やら寢顏に似た處のあるやうなるは、此娘このこの若しも父母にては無きか
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
悄然せうぜんとして浜辺に立つて居ると二人の貴人が其の前に現はれた。一人は大気のつかさアシーナの女神で、一人は伝令神マアキュリーである。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
少年せうねんまぶたをこすりつゝ、悄然しようぜんていなか見廻みまわした。たれでも左樣さうだが非常ひじやう變動へんどうあと暫時しばしゆめちて、ふたゝめざめたときほど心淋こゝろさびしいものはないのである。
「あんたはんが今ここへ来ておくれやしたんでは、私、どない言うてええかわかりまへん」と悄然しおしおとしてふるえ声にいう。その眼は何ともいえない悲痛な色をして私を見ている。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「なかなかうまいでしょう」と小野さんは容易に悄然しょげない。藤尾に逢った時とは少々様子が違う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三四郎は此所こゝて、さら悄然しよげて仕舞つた。何所どこの馬の骨だかわからないものに、あたまがらない位どやされた様な気がした。ベーコンの二十三ページに対してもはなはだ申訳がない位に感じた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と取合う気色も見えぬに、茶一杯饗応もてなされぬ助役は悄然すごすごとして元し道にとってかえしぬ、正兵衛は後見送りて、皺苦茶しわくちゃの眉根をひそめ、ああ厄払い厄払い。
厄払い (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
さうして悄然しほしほ御燈明みあかしをあげにゆく。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
落されあの印籠は大恩ある人より紀念かたみ同樣どうやうに貰ひし品なれば失ひては濟難すみがたし然りながら忘れて立しが此方のあやまちなれば是非もなしと悄然しほ/\として立れたり扨其後二日ほどすぎて右の印籠を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
近頃の所謂「外国語」は、その当時よりもずつと進歩してゐるのですから、私のやうな馬鹿な悄然しよげ方をしなくてもすむと思ひますが、原則として、芝居といふものは、観てみないとわからない。
日本の新劇 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
力なげ首悄然しを/\と己れが膝に気勢いきほひのなきたさうなる眼を注ぎ居るに引き替へ、源太郎は小狗こいぬ瞰下みおろ猛鷲あらわしの風に臨んで千尺の巌の上に立つ風情、腹に十分の強みを抱きて、背をも屈げねば肩をも歪めず
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ランプもけぬ卯平うへいせま小屋こや空氣くうきくろ悄然ひつそりとしてんだやうである。勘次かんじあししてもどつては出來できるだけしづかぢる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれ三足目みあしめきしつた。きしはたけで、洪水こうずゐもたらしたはひてるえごみが一ぱいかわいておほきな龜裂きれつしやうじてる。周圍しうゐ蜀黍もろこしられたまゝすことほくはぼんやりとしてれもきりなか悄然ぽつさりつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)