トップ
>
悄然
>
しよんぼり
ふりがな文庫
“
悄然
(
しよんぼり
)” の例文
夜もすがら枕近くにありて
悄然
(
しよんぼり
)
とせし老人二人の
面
(
おも
)
やう、何處やら寢顏に似た處のあるやうなるは、
此娘
(
このこ
)
の若しも父母にては無きか
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
斯うして酒の罎を提げて
悄然
(
しよんぼり
)
として居る少年の様子を眺めると、あの無職業な敬之進が奈何して日を送つて居るかも
大凡
(
おほよそ
)
想像がつく。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
返事がない。わたしは胸さわぎした。立つて行つて
障子
(
しやうじ
)
を開けて見ると、黄ろい電燈の下に、秋子が包みを持つて
悄然
(
しよんぼり
)
立つてゐる。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
雲
(
くも
)
か、
靄
(
もや
)
か、
綿
(
わた
)
で
包
(
つゝ
)
んだやうに
凡
(
およ
)
そ
三抱
(
みかゝえ
)
ばかりあらうと
思
(
おも
)
ふ
丸柱
(
まるばしら
)
が、
白
(
しろ
)
く
真中
(
まんなか
)
にぬつく、と
立
(
た
)
つ、……と
一目
(
ひとめ
)
見
(
み
)
れば、
其
(
そ
)
の
柱
(
はしら
)
の
根
(
ね
)
に
一人
(
ひとり
)
悄然
(
しよんぼり
)
と
立
(
た
)
つた
婦
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
すぐ近い坂の上だといふ事で、風呂敷包を提げた儘、
黄昏時
(
たそがれどき
)
の雨の霽間を源助の後に
跟
(
つ
)
いて行つたが、何と挨拶したら可いものかと胸を痛めながら
悄然
(
しよんぼり
)
と歩いてゐた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
と唯一言我知らず云ひ出したる
限
(
ぎ
)
り挨拶さへどぎまぎして急には二の句の出ざる中、煤けし紙に針の孔、油染みなんど多き行燈の小蔭に
悄然
(
しよんぼり
)
と坐り込める十兵衞を見かけて源太にずつと通られ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
悄然
(
しよんぼり
)
と佇む木々は
小曲二十篇
(新字旧仮名)
/
漢那浪笛
(著)
夜もすがら枕近くにありて
悄然
(
しよんぼり
)
とせし
老人
(
としより
)
二人の
面
(
おも
)
やう、
何処
(
どこ
)
やら寝顔に似た処のあるやうなるは、この
娘
(
こ
)
のもしも父母にては無きか
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あるものは並んで話し/\歩いて居た。弁護士は
悄然
(
しよんぼり
)
首を垂れて、腕組みして、物も言はずに突立つて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ガタビシする入口の戸を開けると、其処から
見透
(
すとほ
)
しの台所の
炉辺
(
ろばた
)
に、薄暗く
火屋
(
ほや
)
の曇つた、紙笠の破れた三分心の
吊洋燈
(
つりらんぷ
)
の
下
(
もと
)
で、物思はし気に
悄然
(
しよんぼり
)
と坐つて
裁縫
(
しごと
)
をしてゐたお利代は
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お
柳
(
りう
)
は
暗夜
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
に
悄然
(
しよんぼり
)
と
立
(
た
)
つて、
池
(
いけ
)
に
臨
(
のぞ
)
むで、
其
(
そ
)
の
肩
(
かた
)
を
並
(
なら
)
べたのである。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
詫
(
わび
)
るやうに
慰
(
なぐさ
)
められて、
夫
(
それ
)
でもと
椀白
(
わんぱく
)
も
言
(
い
)
へず、しくしく
泣
(
な
)
きに
平常
(
つね
)
の
元氣
(
げんき
)
なくなりて、
悄然
(
しよんぼり
)
とせし
姿
(
すがた
)
可憐
(
いぢら
)
し。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
半町ばかり行つて復た振返つて見ると、未だ友達は同じところに佇立んで居るらしい。
夕餐
(
ゆふげ
)
の煙は町の空を籠めて、
悄然
(
しよんぼり
)
とした友達の姿も
黄昏
(
たそが
)
れて見えたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何
(
なに
)
か、
自分
(
じぶん
)
は
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
一切
(
すべて
)
のものに、
現在
(
いま
)
、
恁
(
か
)
く、
悄然
(
しよんぼり
)
、
夜露
(
よつゆ
)
で
重
(
おも
)
ツくるしい、
白地
(
しろぢ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
の、しほたれた、
細
(
ほそ
)
い
姿
(
すがた
)
で、
首
(
かうべ
)
を
垂
(
た
)
れて、
唯一人
(
たゞひとり
)
、
由井
(
ゆゐ
)
ヶ
濱
(
はま
)
へ
通
(
つう
)
ずる
砂道
(
すなみち
)
を
辿
(
たど
)
ることを、
見
(
み
)
られてはならぬ
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其姿は、何処か、夢を見てゐる人の様に
悄然
(
しよんぼり
)
とした髪も乱れた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
例
(
いつも
)
は威勢よき黒ぬり車の、それ門に音が止まつた娘ではないかと
兩親
(
ふたおや
)
に出迎はれつる物を、今宵は辻より飛のりの車さへ歸して
悄然
(
しよんぼり
)
と格子戸の外に立てば、
家内
(
うち
)
には父親が相かはらずの高聲
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
例
(
いつも
)
は
威勢
(
いせい
)
よき
黒
(
くろ
)
ぬり
車
(
くるま
)
の、それ
門
(
かど
)
に
音
(
おと
)
が
止
(
と
)
まつた
娘
(
むすめ
)
ではないかと
兩親
(
ふたおや
)
に
出迎
(
でむか
)
はれつる
物
(
もの
)
を、
今宵
(
こよひ
)
は
辻
(
つぢ
)
より
飛
(
とび
)
のりの
車
(
くるま
)
さへ
歸
(
かへ
)
して
悄然
(
しよんぼり
)
と
格子戸
(
かうしど
)
の
外
(
そと
)
に
立
(
た
)
てば、
家内
(
うち
)
には
父親
(
ちゝはゝ
)
が
相
(
あひ
)
かはらずの
高聲
(
たかごゑ
)
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
例
(
いつも
)
は威勢よき黒ぬり車の、それ
門
(
かど
)
に音が止まつた娘ではないかと
両親
(
ふたおや
)
に出迎はれつる物を、
今宵
(
こよひ
)
は
辻
(
つぢ
)
より
飛
(
とび
)
のりの車さへ帰して
悄然
(
しよんぼり
)
と
格子戸
(
かうしど
)
の外に立てば、
家内
(
うち
)
には父親が相かはらずの高声
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
うすら
淋
(
さび
)
しき
樣
(
やう
)
に
物
(
もの
)
おもはしげにて、
何
(
いづ
)
れ
華族
(
くわぞく
)
であらうお
化粧
(
つくり
)
が
濃厚
(
こつてり
)
だと
與
(
よし
)
四
郎
(
らう
)
の
振
(
ふり
)
かへりて
言
(
い
)
ふを
耳
(
みゝ
)
にも
入
(
い
)
れぬらしき
樣
(
さま
)
にて、
我
(
わ
)
れと
我
(
わ
)
が
身
(
み
)
を
打
(
うち
)
ながめ
唯
(
たゞ
)
悄然
(
しよんぼり
)
としてあるに
與
(
よ
)
四
郎
(
らう
)
心
(
こゝろ
)
ならず
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しまつたりと
飛
(
と
)
び
退
(
の
)
きて
畜生
(
ちくしやう
)
めとはまこと
踏
(
ふ
)
みつけの
詞
(
ことば
)
なり、
我
(
わ
)
が
物
(
もの
)
なれば
重
(
おも
)
からぬ
傘
(
かさ
)
の
白
(
しら
)
ゆき
往來
(
ゆきかひ
)
も
多
(
おほ
)
くはあらぬ
片側町
(
かたかはまち
)
の
薄
(
うす
)
ぐらきに
悄然
(
しよんぼり
)
とせし
提燈
(
ちやうちん
)
の
影
(
かげ
)
かぜに
瞬
(
またゝ
)
くも
心細
(
こゝろぼそ
)
げなる
一輛
(
いちりやう
)
の
車
(
くるま
)
あり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夜
(
よ
)
もすがら
枕近
(
まくらちか
)
くにありて
悄然
(
しよんぼり
)
とせし
老人
(
としより
)
二人
(
ふたり
)
の
面
(
おも
)
やう、
何處
(
どこ
)
やら
寢顏
(
ねがほ
)
に
似
(
に
)
た
處
(
ところ
)
のあるやうなるは、
此娘
(
このむすめ
)
の
若
(
もし
)
も
父母
(
ちゝはゝ
)
にてはなきか、
彼
(
か
)
のそゝくさ
男
(
をとこ
)
を
始
(
はじ
)
めとして
女中
(
ぢよちゆう
)
ども一
同
(
どう
)
旦那樣
(
だんなさま
)
御新造樣
(
ごしんぞさま
)
と
言
(
い
)
へば
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
悄
漢検1級
部首:⼼
10画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“悄然”で始まる語句
悄然返