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濱
丁度普通の
小さな
波について
濱に
於て
經驗する
通りであるから、
此状態になつてからは、
浪といふよりも
寧ろ
流れといふべきである。
又、萬有のすぐれてめでたき事も
空にはあらず又かの
虚ろ
蘆莖の
戰ぎも
空ならず、
裏海の
濱アラルの
麓なる
古塚の上に坐して
沖なる
島山の
頂は
紫嵐に
包まれ、
天地見るとして
清新の
氣に
充たされて
居る
時、
濱は
寂寞として
一の
人影なく、
穩かに
寄せては
返へす
浪を
弄し