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濱野
まむかうの
黒べいも
櫻がかぶさつて
眞白だ。さつと
風で
消したけれども、しめた
後は
又こもつて
咽せつぽい。
濱野さんも
咳して
居た。
もの
凄いと
言つては、
濱野さんが、
家内と
一所に
何か
罐詰のものでもあるまいかと、
四谷通へ
夜に
入つて
出向いた
時だつた。
濱野さんは、
其の
元園町の
下宿の
樣子を
見に
行つて
居た。——
氣の
毒にも、
其の
宿では
澤山の
書籍と
衣類とを
焚いた。