濱野はまの)” の例文
まむかうのくろべいもさくらがかぶさつて眞白まつしろだ。さつとかぜしたけれども、しめたあとまたこもつてせつぽい。濱野はまのさんもせきしてた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ものすごいとつては、濱野はまのさんが、家内かない一所いつしよなに罐詰くわんづめのものでもあるまいかと、四谷通よつやどほりはひつて出向でむいたときだつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
濱野はまのさんは、元園町もとぞのちやう下宿げしゆく樣子やうすつてた。——どくにも、宿やどでは澤山たくさん書籍しよせき衣類いるゐとをいた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
濱野はまのさんがかへつてから、その一枚いちまいみづひたして、そして佛壇ぶつだんあかりてんじた。つゝしんでまもつたのである
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白井しらゐさんの家族かぞく四人よにん、——主人しゆじんはまだけないいへまもつてこゝにはみえない——わたしたちと、……濱野はまのさんは八千代やちよさんが折紙をりがみをつけた、いゝをとこださうだが、仕方しかたがない。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゝみをあげませう。濱野はまのさん……御近所ごきんじよかた、おとなりさん。」「さわぐなよ。」とはいつたけれども、わたしむねがドキ/\して、かべほゝしつけたり、たゝみでたり、だらしはないが
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その九時頃くじごろ濱野はまのさんがて、ちやはなしながら、ふと「いつかのこたつさわぎは、丁度ちやうど節分せつぶん今夜こんやでしたね。」といふのをなかばくうちに、わたしはドキリとした。總毛立そうけだつてぞつとした。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御安心ごあんしんなさいまし、大丈夫だいぢやうぶでせう。」といふところへ、濱野はまのさんが、下駄げたならしてんでもどつて、「づか/\にはからはひりますとね、それ、あのぢいさん。」といふ、某邸ぼうてい代理だいり夜番よばん
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どのだ、正體しやうたい見屆みとゞけた、あのけむりだ。」といふと、濱野はまのさんがはなして、いでて、「いえ、あのにほひは石炭せきたんです。ひといでませう。」と、いふこともあわてながら戸外おもてす。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)