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某邸
不安の
折だし、
御不自由まことにお
氣の
毒で
申し
兼ねるが、
近所へ
分けるだけでも
水が
足りない。
外町の
方へは、と
言つて
其の
某邸で
斷つた。
火の
氣を
考へ、
考へつゝ、
雨戸を
繰つて、
衝と
裏窓をあけると、
裏手の
某邸の
廣い
地尻から、ドス
黒いけむりが
渦を
卷いて、もう/\と
立ちのぼる。
「
御安心なさいまし、
大丈夫でせう。」といふ
所へ、
濱野さんが、
下駄を
鳴して
飛んで
戻つて、「づか/\
庭から
入りますとね、それ、あの
爺さん。」といふ、
某邸の
代理に
夜番に
出て