-
トップ
>
-
寢顏
その
風雪の一
握りのつぶては、
時々毛のやうな
欄間の
隙や
戸障子の
仲を
盜み
入つて、
目に
見えぬ
冷たいものをハラ/\と
私の
寢顏にふりかけてゆく。
取出し拔て
行燈の
火影に
佶と鍔元より
切先掛て打返し見れども見れども
曇なき
流石は
業物切味と見惚て莞爾と
打笑ひ
鞘に納めて
懷中へ忍ばせ父の
寢顏を
寢顏に
電燈を
厭つたものであらう。
嬰兒の
顏は
見えなかつた、だけ
其だけ、
懸念と
云へば
懸念なので、
工學士が——
鯉か
鼈か、と
云つたのは
此であるが……