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寢顏
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ねがほ
その
風雪の一
握りのつぶては、
時々毛のやうな
欄間の
隙や
戸障子の
仲を
盜み
入つて、
目に
見えぬ
冷たいものをハラ/\と
私の
寢顏にふりかけてゆく。
取出し拔て
行燈の
火影に
佶と鍔元より
切先掛て打返し見れども見れども
曇なき
流石は
業物切味と見惚て莞爾と
打笑ひ
鞘に納めて
懷中へ忍ばせ父の
寢顏を
寢顏に
電燈を
厭つたものであらう。
嬰兒の
顏は
見えなかつた、だけ
其だけ、
懸念と
云へば
懸念なので、
工學士が——
鯉か
鼈か、と
云つたのは
此であるが……
あの
頑是ない
太郎の
寢顏を
眺めながら
置いて
來るほどの
心になりましたからは、
最う
何うでも
勇の
傍に
居る
事は
出來ませぬ、
親はなくとも
子は
育つと
言ひまするし
神樣がそれを
御覧になりました。これは、なんといふ
瘻れた
寢顏だらう。
いまその
露を
含んで、
寢顏の
唇のやうにつぼんだのを、
金色のひとみに
且つ
青く
宿して……
木菟よ、
鳴く。
見するも
過世の
因縁成か不便の者をと
嘆ちしが我から心を鬼になし
道途に迷ふ親の身を
助かる
手便は此
乳子を捨るより外に思案なしと我が子の
寢顏を打
詠め涙ながらに心を
夜もすがら
枕近くにありて
悄然とせし
老人二人の
面やう、
何處やら
寢顏に
似た
處のあるやうなるは、
此娘の
若も
父母にてはなきか、
彼のそゝくさ
男を
始めとして
女中ども一
同旦那樣御新造樣と
言へば
生甲斐なや
五尺の
身に
父母の
恩荷ひ
切れずましてや
暖簾の
色むかしに
染めかへさんはさて
置きて
朝四暮三のやつ/\しさにつく/″\
浮世いやになりて
我身捨てたき
折々もあれど
病勞れし
兩親の
寢顏さし
覗くごとに
我なくば
何とし
給はん
勿體なしと
思ひ
返せど
沸くは