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ぽつさり
與吉は
紙包みの
小豆飯を
盡して
暫らく
庭の
騷ぎを
見て
居たが
寮の
内に
㷀然として
居る
卯平を
見出して
圍爐裏に
近く
迫つた。
遙にぽつり/\と
見える
稻刈の
百姓は
㷀然とした
彼の
目から
隱れようとする
樣に
悉皆ずつと
低く
身を
屈めて
居る。
段々互に
珍らしくなくなつてからは
彼は
餘り
外へも
出ないで
㷀然として
好きな
煙草にのみ
屈託した。
彼は
三足目に
岸に
立つた。
岸は
畑で、
洪水が
齎した
灰に
似てる
泥が一
杯に
乾いて
大きな
龜裂を
生じて
居る。
周圍の
蜀黍が
穗を
伐られた
儘、
少し
遠くはぼんやりとして
此れも
霧の
中に
悄然と
立つて
居る。