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悄然
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せうぜん
ふりがな文庫
“
悄然
(
せうぜん
)” の例文
悄然
(
せうぜん
)
として浜辺に立つて居ると二人の貴人が其の前に現はれた。一人は大気の
司
(
つかさ
)
アシーナの女神で、一人は伝令神マアキュリーである。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
佐久間玄蕃
(
さくまげんば
)
が
中入
(
なかいり
)
の
懈怠
(
けたい
)
のためか、
柴田勝家
(
しばたかついへ
)
、
賤
(
しづ
)
ヶ
嶽
(
たけ
)
の
合戰
(
かつせん
)
敗
(
やぶ
)
れて、
此
(
こ
)
の
城中
(
じやうちう
)
に
一息
(
ひといき
)
し
湯漬
(
ゆづけ
)
を
所望
(
しよまう
)
して、
悄然
(
せうぜん
)
と
北
(
きた
)
の
莊
(
さう
)
へと
落
(
お
)
ちて
行
(
ゆ
)
く。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『あゝ、
今迄
(
いまゝで
)
何
(
なん
)
の
音沙汰
(
おとさた
)
も
無
(
な
)
いのは、
稻妻
(
いなづま
)
も
途中
(
とちう
)
で
死
(
し
)
んでしまつたのでせう。』と、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
悄然
(
せうぜん
)
として、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
蛍
(
ほたる
)
が多く飛びかうのにも、「
夕殿
(
せきでん
)
に蛍飛んで思ひ
悄然
(
せうぜん
)
」などと、お口に上る詩も
楊妃
(
ようひ
)
に別れた玄宗の悲しみをいうものであった。
源氏物語:42 まぼろし
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
須世理姫は彼の去つた後も、暫くは、暗く
火照
(
ほて
)
つた空へ、涙ぐんだ眼を挙げてゐたが、やがて頭を垂れながら、
悄然
(
せうぜん
)
と宮へ帰つて行つた。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
それを聞いて
悄然
(
せうぜん
)
と手持無沙汰に立ち去るものもある。待ち構へたやうに持つてゐた
鑓
(
やり
)
、
負
(
お
)
つてゐた荷を棄てて、
足早
(
あしはや
)
に逃げるものもある。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
悄然
(
せうぜん
)
として八丁堀から歸つて來ると、これも眞劍に心配して居るには相違ありませんが、物に遠慮のないガラツ八が
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
去
(
され
)
ど吾妻は
悄然
(
せうぜん
)
として動きもやらず「——考へて見ると警察程、社会の安寧を
壊
(
やぶ
)
るものは有りませんねエ、泥棒する奴も悪いだらうが、
捉
(
とら
)
へる奴の方が
尚
(
な
)
ほ悪党だ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
悄然
(
せうぜん
)
として
居
(
ゐ
)
た。
與吉
(
よきち
)
が
泣
(
な
)
く
度
(
たび
)
に
彼
(
かれ
)
は
困
(
こま
)
つた。さうして
毎日
(
まいにち
)
お
品
(
しな
)
のことを
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
しては、
天秤
(
てんびん
)
で
手桶
(
てをけ
)
を
擔
(
かつ
)
いだ
姿
(
すがた
)
が
庭
(
には
)
にも
戸口
(
とぐち
)
にも
時
(
とき
)
としては
座敷
(
ざしき
)
にも
見
(
み
)
えることがあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
父は店先でトン/\と桶の
箍
(
たが
)
を
篏
(
い
)
れてゐたし、母は水汲に出て行つた後で私は
悄然
(
せうぜん
)
と圍爐裏の隅に
蹲
(
うづくま
)
つて、もう人顏も見えぬ程薄暗くなつた中に、焚火の中へ竹屑を投げ入れては
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
一時間ばかりもゐて、おせいの亭主は
悄然
(
せうぜん
)
と戻つて行つた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
さう云はれては、
悄然
(
せうぜん
)
と頭を垂れて
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
夜が既に
更
(
ふ
)
けた後、素戔嗚は
鼾
(
いびき
)
をかいてゐたが、須世理姫は独り
悄然
(
せうぜん
)
と、広間の窓に
倚
(
よ
)
りかかりながら、赤い月が音もなく海に沈むのを見守つてゐた。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
言
(
ことば
)
の
下
(
した
)
より、
其處
(
そこ
)
に、
話
(
はなし
)
の
途中
(
とちう
)
から、さめ/″\と
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
た
婦
(
をんな
)
は、
悄然
(
せうぜん
)
として、しかも、すらりと
立
(
た
)
つた。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は
悄然
(
せうぜん
)
として歸つて來ました。まことに散々です。この上は百兩の金をつくつてお時に返し、改めて十手捕繩を返上して、
小商
(
こあきな
)
ひでも始める外はなかつたのです。
銭形平次捕物控:183 盗まれた十手
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「其から梅子さん、私一身上の御依頼が御座いますが」と、篠田は
悄然
(
せうぜん
)
として
眼
(
まなこ
)
を閉ぢぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
先刻
(
せんこく
)
は
見送
(
みおく
)
られた
吾等
(
われら
)
は
今
(
いま
)
は
彼等
(
かれら
)
を
此
(
この
)
船
(
ふね
)
より
送
(
おく
)
り
出
(
いだ
)
さんと、
私
(
わたくし
)
は
右手
(
めて
)
に
少年
(
せうねん
)
を
導
(
みちび
)
き、
流石
(
さすが
)
に
悄然
(
せうぜん
)
たる
春枝夫人
(
はるえふじん
)
を
扶
(
たす
)
けて
甲板
(
かんぱん
)
に
出
(
で
)
ると、
今宵
(
こよひ
)
は
陰暦
(
いんれき
)
十三
夜
(
や
)
、
深碧
(
しんぺき
)
の
空
(
そら
)
には一
片
(
ぺん
)
の
雲
(
くも
)
もなく
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
悄然
(
せうぜん
)
として
後
(
あと
)
に
跟
(
つ
)
いて
來
(
く
)
る
勘次
(
かんじ
)
を
要
(
えう
)
はないからと
巡査
(
じゆんさ
)
は
邪慳
(
じやけん
)
に
叱
(
しか
)
つて
逐
(
お
)
ひやつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
この
男
(
をとこ
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
眞
(
ま
)
に
受
(
う
)
けるな、
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
つても
譃
(
うそ
)
と
思
(
おも
)
へ、——おれはそんな
意味
(
いみ
)
を
傳
(
つた
)
へたいと
思
(
おも
)
つた。しかし
妻
(
つま
)
は
悄然
(
せうぜん
)
と
笹
(
ささ
)
の
落葉
(
おちば
)
に
坐
(
すわ
)
つたなり、ぢつと
膝
(
ひざ
)
へ
目
(
め
)
をやつてゐる。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
明日
(
あした
)
にしろ」と
彼
(
かれ
)
は
簡單
(
かんたん
)
に
拒絶
(
きよぜつ
)
してさうしてそれつきりいはないことが
有
(
あ
)
るやうになつた。
與吉
(
よきち
)
は
屡
(
しば/\
)
さういはれて
悄然
(
せうぜん
)
として
居
(
ゐ
)
るのを、
卯平
(
うへい
)
は
凝視
(
みつ
)
めて
餘計
(
よけい
)
に
目
(
め
)
を
蹙
(
しか
)
めつゝあるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
平次は
悄然
(
せうぜん
)
として笹野新三郎の前を滑りました。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は
悄然
(
せうぜん
)
として落涙せり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
第三の幽霊 (これは
燐火
(
りんくわ
)
を飛ばせながら、愉快さうに
漂
(
ただよ
)
つて来る。)今晩は。
何
(
なん
)
だかいやにふさいでゐるぢやないか? 幽霊が
悄然
(
せうぜん
)
としてゐるなんぞは、当節がらあんまりはやらないぜ。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
悄
漢検1級
部首:⼼
10画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“悄然”で始まる語句
悄然返