“ひつそり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
寂然35.5%
寂寞29.0%
闃乎6.5%
𨶑乎6.5%
闃寂3.2%
䦧寂3.2%
悄然3.2%
沈静3.2%
静粛3.2%
靜寂3.2%
鬩乎3.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
四家町は寂然ひつそりとして、唯一軒理髮床の硝子戸に燈光あかりが射し、中から話聲が洩れたので、此處も人間の世界だなと氣の付く程であつた。間もなく花屋町に入つた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
荷物にもつといふは大八だいはちたゞひとくるまきたりしばかり、兩隣りやうどなりにおさだめの土産みやげくばりけれども、いへうち引越ひつこしらしきさわぎもなく至極しごく寂寞ひつそりとせしものなり。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
闃乎ひつそりとして話一つする者がない。新入生の父兄は、不思議相にしてそれを見てゐた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
場内はまた水を打つた様に𨶑乎ひつそりとした。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
道が段々山里の方へ入つて行くと、四辺あたりが一層闃寂ひつそりして来て、石高いしだかな道をき悩んでゐる人間さへがんな心をもつてゐるか判らないやうにおそれられた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
彼の屋敷は山寺のやうな大きな門構や黒いへいやに取囲まれて、白壁の土蔵と並んで、都会風に建てられた二階家であつたが、門の扉がぴつたりとざされて、内は人気ひとけもないやうに闃寂ひつそりしてゐた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
さく/\、さく/\、䦧寂ひつそりするとまた
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ランプもけぬ卯平うへいせま小屋こや空氣くうきくろ悄然ひつそりとしてんだやうである。勘次かんじあししてもどつては出來できるだけしづかぢる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
雪は屋外そとに降り積ると見え、時々窓の戸にあたつて、はた/\と物の崩れ落ちる音より外には、しんとして声一つしない、それは沈静ひつそりとした
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「おい、何だつて、そんなに静粛ひつそりしてるんだい。僕は先刻さつきから君がやつて来るのを見てたんぢやないか。すると今地面ぢべたかゞんだね。君を撃つと言やしまいし、僕はバヴアリヤ生れだよ。」
靜寂ひつそり人氣ひとけのなくなつたとき頽廢たいはいしつゝあるその建物たてもの何處どこにも生命いのちたもたれてるとはられぬほどかなしげであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ゾロ/\と足音が乱れて、それがしづまると、各級は皆規則正しい二列縦隊を作つてゐた。鬩乎ひつそりとして話一つする者がない。新入生の父兄は、不思議相にしてそれを見てゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)