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寂寞
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ひつそり
一時騒々しかつたのが、
寂寞ばつたりして
平時より
余計に
寂しく
夜が
更ける……さあ、
一分、
一秒、
血が
冷え、
骨が
刻まれる
思ひ。
荷物といふは
大八に
唯一くるま
來りしばかり、
兩隣にお
定めの
土産は
配りけれども、
家の
内は
引越らしき
騷ぎもなく
至極寂寞とせしものなり。
縛れと云聲の
下々役人はつと
立掛るを周藏木祖兵衞種々と
詫入漸々三五郎を外の
腰掛へ出しゝかば跡は
寂寞となり理左衞門
大音揚コリヤ九助
假令右を
……
二人三人、
乘組んだのも
何處へか
消えたやうに、もう
寂寞する。
幕を
切つて
扉を
下ろした。
風は
留んだ。
汽車は
糠雨の
中を
陰々として
行く。
打越て柴屋寺へと
急ける(柴屋寺と言は柴屋宗長が
庵室にして今
猶在と)既に其夜も
子刻の
拍子木諸倶家々の
軒行燈も早引て
廓の中も
寂寞と
往來の人も
稀なれば
時刻も丁度
吉野屋の
裏口脱て
傾城白妙名に
裏表の
墨染の衣を
變に
陰氣で
不氣味な
晩でございました。ちやうど
來なすつた
時、
目白の
九つを
聞きましたが、いつもの
八つころほど
寂寞して、びゆう/\
風ばかりさ、おかみさん。
……
一人や
二人はあつたらうが、
場所が
廣いし、
殆ど
影もないから
寂寞して
居た。
柄を
持つた
手許をスツと
潛つて、
目の
前へ、
恐らく
鼻と
並ぶくらゐに
衝と
鮮かな
色彩を
見せた
蟲がある。
四辺は
寂寞して
居る……
峰に
当り、
頂に
障つて、
山々のために
揺れるのである。
面の
長さは三
尺ばかり、
頤の
痩た
眉間尺の
大額、ぬつと
出て、
薄霧に
包まれた
不氣味なのは、よく
見ると、
軒に
打つた
秋祭の
提灯で、一
軒取込むのを
忘れたのであらう、
寂寞した
侍町に
唯一箇。