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侍町
読み方 | 割合 |
さむらいまち | 50.0% |
さむらひまち | 50.0% |
朝
五つ
時の事で、
侍町の人通りのない坂道を
上る時、
大鷲が一羽、
虚空から
巌の
落下るが如く落して来て、少年を
引掴むと、
忽ち雲を飛んで行く。少年は
夢現ともわきまへぬ。
ぐらぐらと揺れる
一銭橋と云うのを渡って、土塀ばかりで
家の
疎な、畠も池も
所々、
侍町を
幾曲り、で、
突当りの松の樹の中のその
邸に行く、……常さんの
家を思うにも、
恰もこの時、
二更の鐘の
音
穴のやうな
眞暗な
場末の
裏町を
拔けて、
大川に
架けた、
近道の、ぐら/\と
搖れる
一錢橋と
云ふのを
渡つて、
土塀ばかりで
家の
疎な、
畠も
池も
所々、
侍町を
幾曲り、で
面の
長さは三
尺ばかり、
頤の
痩た
眉間尺の
大額、ぬつと
出て、
薄霧に
包まれた
不氣味なのは、よく
見ると、
軒に
打つた
秋祭の
提灯で、一
軒取込むのを
忘れたのであらう、
寂寞した
侍町に
唯一箇。