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眞暗
ひとへに
寄縋る、
薄暗い、
消えさうに、ちよろ/\またゝく……
燈と
言つては
此一點で、
二階も
下階も
臺所も
内中は
眞暗である。
云にける物語
二枝に
分る
不題忠兵衞は主命なれば詮方なく
最云難き事の由を親子の者に云傳へ
其所をば
遁も出せしが
設し
追掛らる事もやと
意の恐れに
眞暗散方跡を
愛ちやんは
些とも
怪我をしませんでした、
一寸跳び
上つて
上を
見ましたが
頭の
上は
眞暗でした。
愛ちやんの
前には、も
一つ
長い
路があつて、
白兎がまだ
急いで
駈けて
行くのが
見えました。
最初愛ちやんは
下を
見、それから
今迄の
事を
知らうとしましたが、
眞暗で
何一つ
見えませんでした。
乃で
愛ちやんは
井戸の四
方を
見て、
其處が
蠅帳や
棚で一ぱいになつてることを
知りました。