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陰氣
「
貴方は、
何んかてえと
家が淋しい淋しいツて
有仰いますけれども、そりや家に病身の人がゐりや、
自然陰氣になりもしますわ。」
落ち
掛けた
日が
少時竹藪を
透して
濕つた
土に
射し
掛けて、それから
井戸を
圍んだ
井桁に
蒞んで
陰氣に
茂つた
山梔子の
花を
際立つて
白くした。
一人は
如法の
變屈ものにて一
日部屋の
中にまぢ/\と
陰氣らしき
生れなれど、
姉のお
花は
皮薄の二
重腮かわゆらしく
出來たる
子なれば、
美人といふにはあらねども
年頃といひ
人の
評判もよく