出來事できごと)” の例文
新字:出来事
しかしその電燈でんとうひかりらされた夕刊ゆふかん紙面しめん見渡みわたしても、やはりわたくし憂鬱いううつなぐさむべく世間せけんあまりに平凡へいぼん出來事できごとばかりでつてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
勿論もちろん此樣こんなことにはなにふか仔細しさいのあらうはづはない。つまり偶然ぐうぜん出來事できごとには相違さうゐないのだが、わたくしなんとなく異樣ゐやうかんじたよ。
翌朝よくてうかれはげしき頭痛づつうおぼえて、兩耳りやうみゝり、全身ぜんしんにはたゞならぬなやみかんじた。さうして昨日きのふけた出來事できごとおもしても、はづかしくもなんともかんぜぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かれこれほど偶然ぐうぜん出來事できごとりて、うしろからことわりなしに足絡あしがらけなければ、たふこと出來できないほどつよいものとは、自分じぶんながらにんじてゐなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
醫者いしや特別とくべつ出來事できごとがなければくるまにはらないので、いつも朴齒ほうば日和下駄ひよりげたみじか體躯からだをぽく/\とはこんでく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あいちやんはれを左程さほどおどろきませんでした、種々いろ/\不思議ふしぎ出來事できごとには全然すつかりれてしまつて。それがところますと、突然とつぜんれがあらはれました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、この出來事できごとわたし眠氣ねむけ瞬間しゆんかんましてしまつた。やみなか見透みすかすと、人家じんか燈灯ともしびはもうえなくなつてゐた。Fまち夢中むちうとほぎてしまつたのだつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その亞米利加人あめりかじん母親はゝおやからはれた言葉ことばいて、あれが自分じぶんの『良心りやうしんざめ』だ、自分じぶんが一しやううちのどんな出來事できごとでもあんなにふか長續ながつゞきのしてのこつたものはない
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ヴェスヴィオ噴火ふんかによるポムペイ全滅ぜんめつ慘事さんじまさるともおとることなきほどの出來事できごとであつた。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
するとそのかへるさ、わたしみちいそいでをりますと、はなさきにおほきな眞黒まつくろやまのやうなものがふいと浮上うきあがりました。がくらくらツとしてからだれました。まつたく突然だしぬけ出來事できごとです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
こののピアノのひゞきは、いまわたくしみゝのこつて、※去くわこ出來事できごとうちもつと壯快さうくわいことの一つにかぞへられてるのである。
せま京都きやうときた宗助そうすけは、單調たんてう生活せいくわつやぶ色彩しきさいとして、さう出來事できごとも百ねんに一ぐらゐ必要ひつえうだらうとまでおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今日けふ貴樣達きさまたち此處ここあつめたのはほかでもない。このあひだはら途中とちうおこつたひとつの出來事できごとたいするおれ所感しよかんはなしてかせたいのだ。それは其處そこにゐる中根なかね等卒とうそつのことだ。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
彼等かれらたゞ朋輩ほうばいともつてることよりほかに「まち」というてもべつ目的もくてきもなければ娯樂ごらくもないのである。れで彼等かれらすこしでもことなつた出來事できごと見逃みのがすことをあへてしないのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
想像さうざうとはほかでもない、貴君等きくんらはたして親愛しんあいなる櫻木君さくらぎくん縁故えんこひとならば、今度こんどこの不思議ふしぎなる出來事できごとも、あるひ櫻木大佐さくらぎたいさ運命うんめいある關係くわんけいいうしてるのではあるまいかと。
宗助そうすけ昨夕ゆうべから今朝けさけての出來事できごと一通ひととほつまんではなしたうへ文庫ぶんこほかなにられたものがあるかないかをたづねてた。主人しゆじんつくゑうへいた金時計きんどけいひとられたよしこたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もなく小隊せうたい隊形たいけいふくしてうごした。が、兵士達へいしたち姿すがたにはもうつかれのいろねむたさもなかつた。彼等かれら偶然ぐうぜん出來事できごとへんてこに興奮こうふんして、わらつたり呶鳴どなつたり、あがつたりしてはしやいでゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)