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等卒
私の
左側にゐる
中根二
等卒はもう一
時間も
前から
半分口をダラリと
開けて、
眠つたまま
歩いてゐた。
今日貴樣達を
此處へ
集めたのは
外でもない。この
間N
原へ
行く
途中に
起つた
一つの
出來事に
對する
己の
所感を
話して
聞かせたいのだ。それは
其處にゐる
中根二
等卒のことだ。
かう
云ひ
續けて、
高岡軍曹はやがて
詞を
途切つたが、それでもまだ
賞め
足りなかつたのか、モシヤモシヤの
髭面をいきませて、
感に
餘つたやうに
中根二
等卒の
顏を
見詰めた。