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刺
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さ
ふりがな文庫
“
刺
(
さ
)” の例文
眞新しい紅白の鈴の
緒
(
を
)
で縛り上げられた中年者の男が、二た突き三突き、
匕首
(
あひくち
)
で
刺
(
さ
)
されて、見るも
無慙
(
むざん
)
な死にやうをして居るのです。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうするとその矢は、若日子がちょうど下界であおむきに
寝
(
ね
)
ていた胸のまん中を、ぷすりと突き
刺
(
さ
)
して一ぺんで殺してしまいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
是等の他にも大魚を捕ふる法有りしなり。此事は常陸椎塚より
發見
(
はつけん
)
されたる
大鯛
(
おほだい
)
の頭骨に骨器の
刺
(
さ
)
さり在りし事に由つて知られたり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
雜木林
(
ざふきばやし
)
の
間
(
あひだ
)
には
又
(
また
)
芒
(
すゝき
)
の
硬直
(
かうちよく
)
な
葉
(
は
)
が
空
(
そら
)
を
刺
(
さ
)
さうとして
立
(
た
)
つ。
其
(
その
)
麥
(
むぎ
)
や
芒
(
すゝき
)
の
下
(
した
)
に
居
(
きよ
)
を
求
(
もと
)
める
雲雀
(
ひばり
)
が
時々
(
とき/″\
)
空
(
そら
)
を
占
(
し
)
めて
春
(
はる
)
が
深
(
ふ
)
けたと
喚
(
よ
)
びかける。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
憎
(
にく
)
いいたずら
子
(
こ
)
を
針
(
はり
)
で
刺
(
さ
)
してやりたいと
思
(
おも
)
いましたが、どこへ
逃
(
に
)
げたか、その
子供
(
こども
)
らの、
影
(
かげ
)
も、
形
(
かたち
)
もあたりには
見
(
み
)
えませんでした。
はちとばらの花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
実際、空はくっきりと晴れているのに、そこに反射している光線は、明るいながら
眼
(
め
)
を
刺
(
さ
)
すほどでなく、身に
沁
(
し
)
みるように美しい。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一月
(
ひとつき
)
の後、百本の矢をもって速射を試みたところ、第一矢が
的
(
まと
)
に
中
(
あた
)
れば、続いて飛来った第二矢は誤たず第一矢の
括
(
やはず
)
に中って突き
刺
(
さ
)
さり
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
『
紀
(
こつな
)
どのは、
質屋
(
しちや
)
のことを
御存
(
ごぞん
)
じかな。』と、
玄竹
(
げんちく
)
の
機智
(
きち
)
は、
敵
(
てき
)
の
武器
(
ぶき
)
で
敵
(
てき
)
を
刺
(
さ
)
すやうに、
紀
(
こつな
)
の
言葉
(
ことば
)
を
捉
(
とら
)
へて、
紀
(
こつな
)
の
顏
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
を
赧
(
あか
)
くさせた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
なよたけ 逃げなくったって大丈夫! こっちでおいたをしなければ
蜜蜂
(
みつばち
)
は決して
刺
(
さ
)
したりなんかしないわ。……ほら、行ってしまった。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
『
腹部
(
おなか
)
の
病気
(
びょうき
)
でございました。
針
(
はり
)
で
刺
(
さ
)
されるようにキリキリと
毎日
(
まいにち
)
悩
(
なや
)
みつづけた
末
(
すえ
)
に、とうとうこんなことになりまして……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
が、そのうちに、勝龍寺城の落去も伝わり、光秀の死も聞えて来たので、兄弟は、淀の小橋のたもとに坐って、見事に
刺
(
さ
)
し
交
(
ちが
)
えて果てた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてやけどをひやそうと
思
(
おも
)
って、水がめの上に
顔
(
かお
)
を
出
(
だ
)
しますと、
陰
(
かげ
)
から
蜂
(
はち
)
がぶんととび
出
(
だ
)
して、
猿
(
さる
)
の目の上をいやというほど
刺
(
さ
)
しました。
猿かに合戦
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
どうかすると
蘇生
(
いきかへ
)
つた
蜂
(
はち
)
に
追
(
お
)
はれて
刺
(
さ
)
されたといふ
人
(
ひと
)
の
話
(
はなし
)
も
聞
(
き
)
きました。さうなると
鐵砲
(
てつぱう
)
をかついで
獸
(
けもの
)
を
打
(
う
)
ちに
行
(
ゆ
)
くも
同
(
おな
)
じやうなものです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
夫
(
をつと
)
はわたしを
蔑
(
さげす
)
んだ
儘
(
まま
)
、「
殺
(
ころ
)
せ」と
一言
(
ひとこと
)
云
(
い
)
つたのです。わたしは
殆
(
ほとんど
)
、
夢
(
ゆめ
)
うつつの
内
(
うち
)
に、
夫
(
をつと
)
の
縹
(
はなだ
)
の
水干
(
すゐかん
)
の
胸
(
むね
)
へ、ずぶりと
小刀
(
さすが
)
を
刺
(
さ
)
し
通
(
とほ
)
しました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
げたで
踏
(
ふ
)
まれたひたいのこぶがしくしく痛みだす。がかれはそれよりも痛いのは胸の底を
刺
(
さ
)
されるような大なる傷であった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ラランの
悪知慧
(
わるぢえ
)
は
有名
(
いうめい
)
なもので、ほかの
鳥
(
とり
)
がうまく
飛
(
と
)
んでるのを
見
(
み
)
ると、
近寄
(
ちかよ
)
つては
自分
(
じぶん
)
の
尖
(
とが
)
つた
嘴先
(
くちさき
)
でチクリと
刺
(
さ
)
して
墜落
(
ついらく
)
させてしまふのだ。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
依つてスサノヲの命はその
孃子
(
おとめ
)
を
櫛
(
くし
)
の
形
(
かたち
)
に變えて
御髮
(
おぐし
)
にお
刺
(
さ
)
しになり、そのアシナヅチ・テナヅチの神に仰せられるには
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
支那にも『輟耕録』十一に、西域人木八剌、妻と対し食事す、妻金の肉
刺
(
さ
)
しで肉を突いて、口に入れ掛けた処へ客が来た。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
が、今度だけは博士の眼がぎょろりと光ったのは、多少ともネルスキーの言葉が博士の皮膚の下まで
刺
(
さ
)
したものらしい。
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
刺
(
さ
)
してくれる。あのひたむきな、思いつめた声音、緊張した歌いぶりが、私のいちばん深いところを刺してくれるんです
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
(
女
(
あね
)
※引ぱりも百までさ。)またその慓悍な声が
刺
(
さ
)
すように
云
(
い
)
った。そしてまたしんとした。そして
心配
(
しんぱい
)
そうな
息
(
いき
)
をこくりとのむ音が近くにした。
泉ある家
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
斜
(
なな
)
め下には、教会堂の
尖塔
(
せんとう
)
も
鋭
(
するど
)
く、空に、つき
刺
(
さ
)
さって、この通俗的な
抒情画
(
じょじょうが
)
を、
更
(
さら
)
に、
完璧
(
かんぺき
)
なものにしていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
釣
(
つり
)
をする、
網
(
あみ
)
を
打
(
う
)
つ、
鳥
(
とり
)
をさす、
皆
(
みんな
)
人
(
ひと
)
の
智恵
(
ちゑ
)
で、
何
(
な
)
にも
知
(
し
)
らない、
分
(
わか
)
らないから、つられて、
刺
(
さ
)
されて、たべられてしまふのだトかういふことだった。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
真剣
(
しんけん
)
だ。
復讐魔
(
ふくしゅうま
)
と化しさっている喬之助の一語一語が、
剃刀
(
かみそり
)
のように冷たさをもって、戸を貫いて壁辰の胸を
刺
(
さ
)
す。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
澄
(
す
)
んだ
空
(
そら
)
の
月
(
つき
)
を
寢
(
ね
)
ながら
眺
(
なが
)
める、
人
(
ひと
)
いきれから
逃
(
のが
)
れた
郊外
(
こうがい
)
の
樂
(
たのし
)
みは、こゝに
止
(
とゞ
)
めを
刺
(
さ
)
す……それが
觀
(
み
)
られない。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
総年寄
(
そうどしより
)
今井が
火消人足
(
ひけしにんそく
)
を指揮して、焼けた材木を
取
(
と
)
り
除
(
の
)
けさせた。其下から吉兵衛と云ふ人足が
先
(
ま
)
づ格之助らしい死骸を引き出した。胸が
刺
(
さ
)
し
貫
(
つらぬ
)
いてある。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
渡良瀬川
(
わたらせがわ
)
の渡し場から中田に来る間の夕暮れの風はヒュウヒュウと
肌
(
はだ
)
を
刺
(
さ
)
すように寒く吹いた。灰色の雲は空をおおって、おりおり通る帆の影も暗かった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ロミオ なに、
戀
(
こひ
)
を
温柔
(
やさ
)
しい?
温柔
(
やさ
)
しいどころか、
粗暴
(
がさつ
)
な
殘忍
(
あらけな
)
い
者
(
もの
)
ぢゃ。
荊棘
(
いばら
)
のやうに
人
(
ひと
)
の
心
(
むね
)
を
刺
(
さ
)
すわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
延
(
の
)
び
掛
(
か
)
かつた
髯
(
ひげ
)
が、
頬
(
ほゝ
)
の
邊
(
あたり
)
で
手
(
て
)
を
刺
(
さ
)
す
樣
(
やう
)
にざら/\したが、
今
(
いま
)
の
宗助
(
そうすけ
)
にはそれを
苦
(
く
)
にする
程
(
ほど
)
の
餘裕
(
よゆう
)
はなかつた。
彼
(
かれ
)
はしきりに
宜道
(
ぎだう
)
と
自分
(
じぶん
)
とを
對照
(
たいせう
)
して
考
(
かんが
)
へた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは
鹽燒
(
しほや
)
き、てんぷら、
煮
(
に
)
つけ、
刺
(
さ
)
し
身
(
み
)
などになり、
鑵詰
(
かんづ
)
めにあきた
登山者
(
とざんしや
)
にとつて
何
(
なに
)
よりの
珍味
(
ちんみ
)
です。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
そして
彼女
(
あれ
)
はグリスビイ・リトリイトの番人をしてゐる息子を連れて來て、私の奧さまがお手のものゝ
夜中
(
よなか
)
に寢てる人間に火をつけたり、
刺
(
さ
)
し殺さうとしたり
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
刺槐
(
はりゑんじゆ
)
よ、
好
(
い
)
い匂がして、ちくちく
刺
(
さ
)
してくれるのが愛の
戲
(
たはむれ
)
なら、
後生
(
ごしやう
)
だ、わたしの
兩眼
(
りやうがん
)
を
刳
(
く
)
りぬいておくれ、さうしたら、おまへの爪の皮肉も見えなくなるだらう。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
三言
(
みこと
)
とは
呼
(
よ
)
ばれもせず
帶
(
おび
)
より
先
(
さき
)
に
襻
(
たすき
)
がけの
甲斐
(
かひ
)
/\しく、
井戸端
(
ゐどばた
)
に
出
(
いづ
)
れば
月
(
つき
)
かげ
流
(
なが
)
しに
殘
(
のこ
)
りて、
肌
(
はだへ
)
を
刺
(
さ
)
すやうな
風
(
かぜ
)
の
寒
(
さむ
)
さに
夢
(
ゆめ
)
を
忘
(
わす
)
れぬ、
風呂
(
ふろ
)
は
据
(
すゑ
)
風呂
(
ふろ
)
にて
大
(
おほ
)
きからねど
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
また
魚
(
さかな
)
を
釣
(
つ
)
る
時
(
とき
)
の
釣
(
つ
)
り
針
(
ばり
)
だとか、
魚
(
さかな
)
を
突
(
つ
)
き
刺
(
さ
)
す
時
(
とき
)
の
銛
(
もり
)
にも、
骨
(
ほね
)
や
角
(
つの
)
で
作
(
つく
)
つたものでなければ
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
たないのでありまして、
常陸
(
ひたち
)
の
椎塚
(
すいつか
)
といふ
貝塚
(
かひづか
)
からは、
鯛
(
たひ
)
の
頭
(
あたま
)
の
骨
(
ほね
)
に
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
たかるだけで
刺
(
さ
)
しもせず喰ひつきもしない
奴
(
やつ
)
はいゝけれど、尺とりだけには用心せねばならない、足の
蹠
(
かゝと
)
から
項
(
ぼん
)
の
凹
(
くぼ
)
まで計られると三日の中に
死
(
し
)
なねばならないからなと
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
なんだかまるで誰かに
復讐
(
ふくしゅう
)
をしようとでも思っているように、憎々しい毒念が彼の胸を
刺
(
さ
)
すのであった。彼は、先刻の会話を思い出すと、アリョーシャさえも憎らしかった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ポアッソニエの
大通
(
グランブールヴァル
)
はもう
五色
(
ごしき
)
の光の
槍襖
(
やりぶすま
)
を八方から
突出
(
つきだ
)
していた。しかしそれに
刺
(
さ
)
され、あるいはそれを
除
(
よ
)
けて行く往来の人はまだ
篩
(
ふるい
)
にかけられていなかった。ゴミが多かった。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
道徳の旨を知らず、
雕飾
(
ちゅうしょく
)
綴緝
(
てっしゅう
)
して、以て新奇となし、歯を
鉗
(
かん
)
し舌を
刺
(
さ
)
して、以て簡古と為し、世に
於
(
おい
)
て加益するところ無し。是を
文辞
(
ぶんじ
)
の
蠹
(
と
)
という。四者
交々
(
こもごも
)
作
(
おこ
)
りて、聖人の学
亡
(
ほろ
)
ぶ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
足柄
(
あしがら
)
の
彼面此面
(
をてもこのも
)
に
刺
(
さ
)
す
羂
(
わな
)
のかなる
間
(
ま
)
しづみ
児
(
こ
)
ろ
我
(
あれ
)
紐
(
ひも
)
解
(
と
)
く 〔巻十四・三三六一〕 東歌
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
……なんてお
馬鹿
(
ばか
)
さんなの、あなたは? どこか
怪我
(
けが
)
しなかったこと? イラクサに
刺
(
さ
)
されて、ちくちくしやしなくって? そう言っているのよ、わたしの顔を見ちゃいけないって。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
防禦
(
ぼうぎょ
)
ともにこれを用いるゆえ、蜂の団体は多くの敵に勝って繁栄している次第であるが、この針には逆に向いた
鉤
(
かぎ
)
があって、いったんこれで人などを
刺
(
さ
)
すとそのままになって抜けない。
進化論と衛生
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
次郎の張りきった気持は、それで針を
刺
(
さ
)
された風船球のようにしぼんでしまった。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「お
願
(
ねが
)
ひだから、
靜
(
しづか
)
にしてゐてくんな」と
頼
(
たの
)
みました。
靜
(
しづ
)
かになつたやうでした。すると、こんどは
虻
(
あぶ
)
の
奴
(
やつ
)
、
銀
(
ぎん
)
の
手槍
(
てやり
)
でちくりちくりと
處
(
ところ
)
嫌
(
きら
)
はず、
肥太
(
こえふと
)
つた
牛
(
うし
)
の
體
(
からだ
)
を
刺
(
さ
)
しはじめました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
一坪程の小さな
草舎
(
くさや
)
がある。
屋後
(
うしろ
)
には熊の
髑髏
(
あたま
)
の白くなったのや、まだ比較的
生
(
なま
)
しいのを突き
刺
(
さ
)
した
棹
(
さお
)
、熊送りに用うるアイヌの幣束イナホなどが十数本、立ったり倒れたりして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ドチラかというと寡言の方で、眼と唇辺に冷やかな微笑を寄せつつ黙して人の
饒舌
(
おしゃべり
)
を聞き、時々低い
沈着
(
おちつ
)
いた
透徹
(
すきとお
)
るような声でプツリと
止
(
とど
)
めを
刺
(
さ
)
すような警句を吐いてはニヤリと笑った。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
当時
(
とうじ
)
、
江戸
(
えど
)
の三
人女
(
にんおんな
)
の
随
(
ずい
)
一と
名
(
な
)
を
取
(
と
)
った、おせんの
肌
(
はだ
)
が
見
(
み
)
られるなら、
蚊
(
か
)
に
食
(
く
)
われようが、
虫
(
むし
)
に
刺
(
さ
)
されようが、
少
(
すこ
)
しも
厭
(
いと
)
うことじゃァない、
好
(
す
)
きな
煙草
(
たばこ
)
も
慎
(
つつし
)
むし、
声
(
こえ
)
も
滅多
(
めった
)
に
出
(
だ
)
すまいから
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
彼だって人間の心は持っているだろう。
重盛
(
しげもり
)
もついている。あゝそれよりももしやあの純潔な、
誇
(
ほこ
)
りをもった妻が、
侮辱
(
ぶじょく
)
されるのを恐れて、子供を
刺
(
さ
)
し殺して、
自害
(
じがい
)
しはしなかったろうか。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
注射器の中には空気のガラン
洞
(
どう
)
が出来ている。このまま静脈に
刺
(
さ
)
してやろうかと、寺田は静脈へ空気を入れると命がないと言った看護婦の言葉を想い出し、狂暴に燃える眼で一代の腕を見た。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
是をこしらえた女たちは、たとえば野ら働きの最もせわしい日でも、持って行って田の
畔
(
くろ
)
に包んで置き、男が茶を飲み
煙草
(
たばこ
)
を吸う時間にも、
一針
(
ひとはり
)
でも是を
刺
(
さ
)
して置こうとしたのだそうである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
という意味のことを叫びたてると、ポルトガル人が飛んできて、刀で吉之丞の腹を
刺
(
さ
)
した。吉之丞は
錠銀
(
じょうぎん
)
を腹巻に入れて腹に巻いていたので、いくどか刺されたが、いっこうにこたえなかった。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“刺(
棘
)”の解説
棘(とげ、刺、朿)は、生物または人工物の表面における、固く頂点の鋭い円錐形の突起のこと。生物体または人工物を保護する役割で存在することが多い。また、比喩的に心に傷を与えるような言動に対して「棘のある」という言い方もする。前者の棘も後者の棘も、必要以上に多いと思われるときは「とげとげ」という擬態語で修飾される。
(出典:Wikipedia)
刺
常用漢字
中学
部首:⼑
8画
“刺”を含む語句
刺繍
刺青
突刺
諷刺
刺客
刺貫
刺戟
刺子
名刺
肉刺
串刺
刺激
刺止
刺股
絽刺
刺殺
刺々
芋刺
目刺
江刺
...