“擬(さ)” の例文
源太は腹に戸締の無きほど愚魯(おろか)ならざれば、猪口を擬(さ)しつけ高笑ひし、何を云ひ出した清吉、寝惚るな我の前だは、三の切を出しても初まらぬぞ、其手で女でも口説きやれ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
砕けた源太が談話(はなし)ぶり捌(さば)けたお吉が接待(とりなし)ぶりにいつしか遠慮も打ち忘れ、擬(さ)されて辞(いな)まず受けてはつと干(ほ)し酒盞(さかずき)の数重ぬるままに、平常(つね)から可愛らしき紅(あか)ら顔を一層みずみずと
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
源太は腹に戸締りのなきほど愚(おろ)かならざれば、猪口(ちょく)を擬(さ)しつけ高笑いし、何を云い出した清吉、寝ぼけるな我の前だわ、三の切を出しても初まらぬぞ、その手で女でも口説きやれ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さてあらためて飲み干したる酒盃とつて源太は擬(さ)し、沈黙(だんまり)で居る十兵衞に対ひ、十兵衞、先刻に富松を態〻遣つて此様(こん)な所に来て貰つたは、何でも無い、実は仲直り仕て貰ひたくてだ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
関(かま)うことはない大胡坐(おおあぐら)で楽にいてくれ、とおずおずし居るを無理に坐に居(す)え、やがて膳部も具備(そなわ)りし後、さてあらためて飲み干したる酒盃(さかずき)とって源太は擬(さ)し、沈黙(だんまり)で居る十兵衛に対(むか)い、十兵衛
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
清吉酔ふては撿束(しまり)なくなり、砕けた源太が談話(はなし)ぶり捌(さば)けたお吉が接待(とりなし)ぶりに何時しか遠慮も打忘れ、擬(さ)されて辞(いな)まず受けては突と干し酒盞(さかづき)の数重ぬるまゝに、平常(つね)から可愛らしき紅ら顔を一層沢〻(みづ/\)と
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)