“沈黙”のいろいろな読み方と例文
旧字:沈默
読み方割合
しじま32.9%
ちんもく30.5%
だま13.4%
だんまり4.9%
しじ3.7%
サイレンス2.4%
しゞま2.4%
むっつり2.4%
もだし2.4%
だまつ1.2%
しずまり1.2%
だまり1.2%
もだ1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私はその痛みの行衛ゆくえを探すかのように、片手で頭を押えたまま、黄色い光線と、黒い陰影かげ沈黙しじまを作っている部屋の中を見まわした。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
青山敬太郎は大河ほど雄弁ゆうべんな口はきかなかった。かれはむしろ沈黙ちんもくがちであり、ごくまれに断片的だんぺんてきな意見を発表するにすぎなかった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
沈黙だまった女は花のようにやさしい匂いを遠くまで運んで来るものだ、なみだのにじんだ目をとじて、まぶしい燈火に私は顔をそむけた。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
其重苦しい沈黙だんまりの中に、何か怖しい思慮かんがへが不意に閃く様に、北のトツぱづれのめりかかつた家から、時々パツと火花が往還に散る。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いまだ起きて火だねりゐたりさらさらとあたりの沈黙しじに雪のさやる音 (二二四頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
……そして私を昔のように抱いて接吻して下さいよう。え、え、お姉様!(耳を澄ます、沈黙サイレンス)ええ、ええ、何んてお姉様は!
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それでも、ふつと言葉が止絶とぎれて川向ひの歓声だけが手にとるやうに響いて来るのを聴き入るやうな沈黙しゞまが来ると、滝の眼にはNの青い瞳が、はてしもなく遥かに、物哀しく沾んで映ります。
舞踏会余話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
例の沈黙むっつりと云れる調子を以て、きれ/″\とあやしい挨拶を施し、別れてこちらへ来懸ったが、序にと二階を下て用達に行くと、手を洗う後ろに立て居たのは、はからざりき歌ちゃんすなわち小歌で
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
帰つて見ると元子もとこ帰宅かへつて居ない。ふさ気慊きげんを取る言葉がないので沈黙だまつて横を向いてると、銀之助は自分でウヰスキーのびんとコツプをもつて二階へけ上がつた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
風、地に落ちてはちきれそうな沈黙しずまり
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼等はさっきから沈黙だまりくらべでもしてゐるらしく、てんでに素気ない顔をしてゐた。だが、その重苦しい気分に反抗するために、一人の男の濃い眉は時々無意識に動いた。
三人 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
幾百いくひやく沈黙もだ大牛おほうし
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)