“だんまり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
黙然34.1%
無言14.6%
沈黙9.8%
默然9.8%
黙言9.8%
暗闘7.3%
4.9%
暗黙2.4%
無断2.4%
黙々2.4%
黙者2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お勢はひたえで昇をにらめたままなにとも言わぬ、お政も苦笑いをした而已のみでこれも黙然だんまりと席がしらけた趣き。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
顔のわからない夕方に出会った鳥打帽子のインバネス同志が右から左に、無言だんまり現金げんナマと引き換える……だから揚げられても相手の顔は判然わからん判然らんで突張り通したものですが
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さてあらためて飲み干したる酒盃とつて源太はし、沈黙だんまりで居る十兵衞に対ひ、十兵衞、先刻に富松を態〻遣つて此様こんな所に来て貰つたは、何でも無い、実は仲直り仕て貰ひたくてだ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
おさな子に飯粒いひぼくゝめるやうな申分を、さすが亂暴に狼藉に言ひやぶらるゝ物でなければ、與之助少し勝手のかはりて、しばらくは默然だんまりとなりぬ
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
子供に向ってもがみがみ叱る性質たちで、一人の清吉という息子があったが、母親の気質きだてに似ないで、父親のように黙言だんまりな、少しぼんやりとした大柄な子供であった。
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
舞台はやがて昨日きのうの通りに河端かわばた暗闘だんまりになって、劇の主人公が盗んだ金を懐中ふところに花道へ駈出かけいでながら石礫いしつぶてを打つ、それを合図にチョンと拍子木が響く。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
暫しありて清二郎は湯にとて降りてきたらず、雨はあがりしその翌日あくるひの夕暮、荻江おぎえが家の窓の下に風鈴ふうりんと共にだんまりの小花、文子の口より今朝聞きし座敷の様子いぶかしく
そめちがへ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
一脈の寂しさを包みきれないで、帯同した庸太郎と一人の青年と並んで暗黙だんまりでクッションに腰かけていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
不実に考えりゃア、無断だんまりで不意と出発たって行くかも知れない。私はともかく、平田はそんな不実な男じゃない、実に止むを得ないのだ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
せんの内はこんなおまえじゃあなかったけれどだんだんに酷い人におなりだネエ、黙々だんまりで自分の思い通りを押通おしとおそうとお思いのだもの、ほんとにおまえは人が悪い、こわいような人におなりだよ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
スウェーデンの牧牛女うしかいめは狼を黙者だんまり灰色脚はいいろあし金歯きんばなど呼び、熊を老爺おやじ大父おおちち、十二人力にんりき金脚きんあしなど名づけ決してその本名を呼ばず