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黙然
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だんまり
ふりがな文庫
“
黙然
(
だんまり
)” の例文
旧字:
默然
と
雫
(
しずく
)
を切って、ついと出すと、他愛なさもあんまりな、目の色の変りよう、
眦
(
まなじり
)
も
屹
(
きっ
)
となったれば、女房は気を打たれ、
黙然
(
だんまり
)
でただ目を
睜
(
みは
)
る。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お勢は
額
(
ひたえ
)
で昇を
睨
(
にら
)
めたまま
何
(
なに
)
とも言わぬ、お政も苦笑いをした
而已
(
のみ
)
でこれも
黙然
(
だんまり
)
、
些
(
ち
)
と席がしらけた趣き。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
と不足らしい顔つきして女を見送りしが、何が眼につきしや急にショゲて
黙然
(
だんまり
)
になって抽斗を
開
(
あ
)
け、
小刀
(
こがたな
)
と
鰹節
(
ふし
)
とを取り出したる男は、
鰹節
(
ふし
)
の
亀節
(
かめぶし
)
という
小
(
ちさ
)
きものなるを見て
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
袂
(
たもと
)
に触れ、手に触り、寄ったり、放れたり、
筋違
(
すじちがい
)
に
退
(
の
)
いたり、
背後
(
うしろ
)
へ出たり、附いて廻って弥吉は、きょろきょろ、目ばかり
煌
(
きらめ
)
かして
黙然
(
だんまり
)
で。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両三度、津山の笑いは、ここで笑うのにあらかじめ用意をしたらしいほど、
式
(
かた
)
のごとく、例の
口許
(
くちもと
)
をおさえて、
黙然
(
だんまり
)
を暗示しながら、目でおどけた。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「まあ、
挨拶
(
あいさつ
)
もしないで、……
黙然
(
だんまり
)
さん。お澄ましですこと。……あゝ、此の
間
(
あいだ
)
、
鳩
(
はと
)
にばツかり構つて居たから、お前さん、
一寸
(
ちょいと
)
お
冠
(
かんむり
)
が曲りましたね。」
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
千草色
(
ちぐさいろ
)
の
半纏
(
はんてん
)
の片手を
懐
(
ふところ
)
に、膝を立てて、それへ
頬杖
(
ほおづえ
)
ついて、
面長
(
おもなが
)
な思案顔を重そうに
支
(
ささ
)
えて
黙然
(
だんまり
)
。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この通り、ト仕方で見せて、だらしなく
起
(
た
)
つ拍子に、あの人もずるりと足を取られた音で、あとは
黙然
(
だんまり
)
、そら
解
(
どけ
)
がしたと見える、ぐい、ぐい帯を上げてるが陰気に聞えた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
要らぬと言えば、
黙然
(
だんまり
)
で、腰から
前
(
さき
)
へ、板廊下の暗い方へ、スーと消えたり……
怨敵
(
おんてき
)
、
退散
(
たいさん
)
。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
遣
(
や
)
ると、……そこもやっぱり開いたままの、障子の陰の、湯殿へ通う向うの廊下へ、しとしとと
跫音
(
あしおと
)
がして、でも、
黙然
(
だんまり
)
で、ちょいと顔だけ見せて
覗
(
のぞ
)
いたが、直ぐに
莞爾
(
にっこり
)
して
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だって、
住吉
(
すみよし
)
、天王寺も見ない
前
(
さき
)
から、大阪へ着いて早々、あの
婦
(
おんな
)
は? でもあるまいと思う。それじゃ慌て過ぎて、振袖に
躓
(
けつまず
)
いて転ぶようだから、
痩我慢
(
やせがまん
)
で
黙然
(
だんまり
)
でいたんだ。」
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この間もあの
術
(
て
)
で驚かしゃあがった、
尨犬
(
むくいぬ
)
め、しかも真夜中だろうじゃあねえか、トントントンさ、誰方だと聞きゃあ
黙然
(
だんまり
)
で、
蒲団
(
ふとん
)
を
引被
(
ひっかぶ
)
るとトントンだ、誰方だね、
黙
(
だんま
)
りか、またトンか
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ついでに言おう、人間を挟みそうに、籠と
竹箸
(
たけばし
)
を構えた薄気味の悪い、
黙然
(
だんまり
)
の
屑屋
(
くずや
)
は、古女房が、そっち側の二人に、縁台を進めた時、ギロリと踏台の横穴を
覗
(
のぞ
)
いたが、それ切りフイと居なくなった。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その癖、
黙然
(
だんまり
)
でね、チトもしお
静
(
しずか
)
に、とも言い得ない。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
男はじっとして動かず、二人ともしばらく
黙然
(
だんまり
)
。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黙然
(
だんまり
)
で、眉と髭と、
面中
(
つらじゅう
)
の威厳を緊張せしめる。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
男は
黙然
(
だんまり
)
の腕組して
行
(
ゆ
)
く。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黙
常用漢字
中学
部首:⿊
15画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“黙然”で始まる語句
黙然人
黙然坊