)” の例文
むづかしきたづねものかな。げ持ちて旅するものは知らず。こゝ等には舟もいかだもなし。乙。客人は路にや迷ひ給ひし。こゝは物騷なる土地なり。
足の踏所ふみど覚束無おぼつかなげに酔ひて、帽は落ちなんばかりに打傾うちかたむき、ハンカチイフにつつみたる折を左にげて、山車だし人形のやうに揺々ゆらゆらと立てるは貫一なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お庄はその少し手前で俥から降りて、途中で買った手土産をげながら入って行った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
四季袋しきぶくろ紐短ひもみじかにげたるが、此方こなたを見向ける素顔の色あをく、口のべにさで、やや裏寂うらさびしくも花の咲過ぎたらんやうの蕭衰やつれを帯びたれど、美目のへんたる色香いろか尚濃なほこまやかにして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)