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覚
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さ
ふりがな文庫
“
覚
(
さ
)” の例文
旧字:
覺
クリストフの眼を
覚
(
さ
)
まさせるために、シルヴァン・コーンはまた特殊な芝居へ連れて行こうと言い出した——精練の極致たる芝居へ。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ほんとうに目を
覚
(
さ
)
ましていたわけではなく、友愛塾というところは一風変わった指導をやるところだぐらいにしか考えていなかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彼女はまだあの時の悪夢から
覚
(
さ
)
めきらないもののように、こまごまとあの瞬間のことを回想しては、プルプルと
身顫
(
みぶるい
)
をするのであった。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
翌朝
(
よくあさ
)
眼が
覚
(
さ
)
めると
硝子戸
(
ガラスど
)
に日が射している。たちまち文鳥に
餌
(
え
)
をやらなければならないなと思った。けれども起きるのが
退儀
(
たいぎ
)
であった。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたしが半分目が
覚
(
さ
)
めて身動きすると、かれはただきつくなった自分のうでの
位置
(
いち
)
を変えた。そして自分は動かずにすわっていた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
後に美妙と結婚して蜜月の甘い陶酔が
覚
(
さ
)
めない中に
果敢
(
はか
)
ない悲劇の犠牲となった
田沢稲舟
(
たざわいなふね
)
もまたこの寄書欄から出身した女秀才であった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
曰
(
いわ
)
く一つの同じ寝室に、太郎と次郎が一所に寝ている。朝、太郎が目を
覚
(
さ
)
ました時、いかにして自分の記憶を、次郎のそれと区別するか。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
心柄
(
こころがら
)
とはいひながら
強
(
し
)
ひて
自
(
みずか
)
ら世をせばめ人の
交
(
まじわり
)
を断ち、
家
(
いえ
)
にのみ
引籠
(
ひきこも
)
れば
気随気儘
(
きずいきまま
)
の空想も門外世上の声に妨げ
覚
(
さ
)
まさるる事なければ
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
此
(
こ
)
の
煽動
(
あふり
)
に
横顔
(
よこがほ
)
を
払
(
はら
)
はれたやうに
思
(
おも
)
つて、
蹌踉
(
よろ/\
)
としたが、
惟
(
おも
)
ふに
幻覚
(
げんかく
)
から
覚
(
さ
)
めた
疲労
(
ひろう
)
であらう、
坊主
(
ばうず
)
が
故意
(
こい
)
に
然
(
さ
)
うしたものでは
無
(
な
)
いらしい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
なに
)
かミハイル、アウエリヤヌイチが
云
(
い
)
うたのであるが、
直
(
すぐ
)
に
皆
(
みな
)
掻消
(
かきき
)
えてしまった。かくてアンドレイ、エヒミチは
永刧
(
えいごう
)
覚
(
さ
)
めぬ
眠
(
ねむり
)
には
就
(
つ
)
いた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
今年
(
ことし
)
みたいに、
紅白
(
こうはく
)
の
花
(
はな
)
がたんと
咲
(
さ
)
いた
歳
(
とし
)
は
無
(
な
)
い。
野
(
の
)
は
一面
(
いちめん
)
に
眼
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めるやうな
色
(
いろ
)
だ。どこへ
行
(
い
)
つても
垣根
(
かきね
)
の
上
(
うへ
)
に
主
(
しゆ
)
の
御血潮
(
おんちしほ
)
は
煌々
(
ぴかぴか
)
してゐる。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
金茎
(
きんけい
)
の露一杯という心持がした。かくてようように眠りがはっきりと
覚
(
さ
)
めたので、十分に体の不安と苦痛とを感じて来た。
九月十四日の朝
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
目
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めると、おみよはその
乞食
(
こじき
)
の
子
(
こ
)
がかわいそうでなりませんでした。けれど、まだ
彼女
(
かのじょ
)
は、
人形
(
にんぎょう
)
のことを
思
(
おも
)
いきることができませんでした。
なくなった人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今まで冬眠に入っていた情熱が一時に呼び
覚
(
さ
)
まされて来るのを感じた——それに堪えきれない寂しさが、彼を悲痛な
悶
(
もだ
)
えに追いこむのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
どれだけ眠ったか、飛行機の爆音がするので、二人は目が
覚
(
さ
)
めた。気をつけていると、飛行機は、ゴンドラの周囲をぐるぐる廻っているらしい。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかるに余り侮り過ぎて眠り過ぎた間に亀は遅いものの一心不乱に歩み走ってとうとう目的点へ着いたので兎の眼が
覚
(
さ
)
めた時はすでに敗けいた。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
憂鬱
(
ゆううつ
)
な眼付をして、三吉が昼寝から
覚
(
さ
)
めた時は、
虻
(
あぶ
)
にでも刺されたらしい
疼痛
(
いたみ
)
を覚えた。お俊は髪に塗る油を持って来て、それを叔父に勧めた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
眼
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めるや酒の酔も
醒
(
さ
)
め、頭の上には里子が心配そうに僕の顔を見て
坐
(
すわっ
)
て居ました。母は
直
(
す
)
ぐ鎌倉に引返したのでした。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
正子は心配で、
覚
(
さ
)
めるまでミネの枕もとでイビキに聞き入るのだという。そしてそんなとき親子はすごく仲よくなった。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
なにもそんな
不思議
(
ふしぎ
)
な効力はないとの結論で、たちまちその研究熱が
覚
(
さ
)
めてしまって、
今日
(
こんにち
)
ではだれもその
淫羊藿説
(
いんようかくせつ
)
を信ずる
馬鹿者
(
ばかもの
)
はなくなった。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
夢に球と球と相触れて
戞々
(
かつ/\
)
と響く音に耳を襲われ、驚き
覚
(
さ
)
めて
頭
(
かしら
)
を
㩮
(
あぐ
)
れば其響は球の音にあらで外より余が室の戸を急がわしく打叩くにぞありける
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その
明
(
あ
)
くる日
保名
(
やすな
)
は目が
覚
(
さ
)
めてみると、
昨日
(
きのう
)
うけた
体
(
からだ
)
の
傷
(
きず
)
が
一晩
(
ひとばん
)
のうちにひどい
熱
(
ねつ
)
をもって、はれ
上
(
あ
)
がっていました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
語り明かした
面
(
おもて
)
はみな疲れていた。
朝餉
(
あさげ
)
をすますと人々は少し眠りをとった。そしてふたたび
覚
(
さ
)
めてからの話である。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
セルギウスは
覚
(
さ
)
めた。そして夢に見た事を神の
啓示
(
けいじ
)
だと思つた。そして気分が晴やかになつて、夢の中の教の通りにしようと決心することが出来た。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
廿四日、
天気
(
てんき
)
好
(
よ
)
し。
隣
(
となり
)
の
客
(
きゃく
)
つとめて
声高
(
こわだか
)
に
物語
(
ものがたり
)
するに
打驚
(
うちおどろ
)
きて
覚
(
さ
)
めぬ。
何事
(
なにごと
)
かと聞けば、
衛生
(
えいせい
)
と
虎列拉
(
これら
)
との事なり。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
このことと俊雄ようやく夢
覚
(
さ
)
めて父へ
詫
(
わ
)
び入り元のわが家へ立ち帰れば喜びこそすれ
気振
(
けぶ
)
りにもうらまぬ母の慈愛厚く
門際
(
もんぎわ
)
に寝ていたまぐれ犬までが尾を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
そんな夜ふけに、私はふと目を
覚
(
さ
)
まして、自分の傍に父も母もいないことに気がつくと、寝間着のまま、みんなの話し声のしている縁側まで出ていった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
おふざけでないよ、
寝
(
ね
)
ているかとおもえば
眼
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めていて、出しぬけに
床
(
とこ
)
ん中からお酒を買えたあ何の
事
(
こっ
)
たえ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼が眼を
覚
(
さ
)
まして、ドキンとしながら、あわててピストルを取り上げようとした手を押えて、かつての日の彼の奸計を責め、近く復讐を遂げるぞと宣言し
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
今の人が聴けば興の
覚
(
さ
)
めるような話だが、加賀の
白山
(
しらやま
)
の山の神女体こうのりゅうぐうの宮、志賀の
辛崎
(
からさき
)
明神と御かたらいあって、懐姙すでにその月に近く
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
『
俺
(
わし
)
は
実
(
じつ
)
はそなたの
声
(
こえ
)
で
眼
(
め
)
を
覚
(
さ
)
ましたのじゃ。』と
良人
(
おっと
)
はじっと
私
(
わたくし
)
を
見守
(
みまも
)
り
乍
(
なが
)
らポツリポツリ
語
(
かた
)
り
出
(
だ
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
蓮鉢を越して向ふ側の
廂房
(
しやうばう
)
から、眼でも
覚
(
さ
)
ましたのだらう、急に赤ん坊の
癇走
(
かんばし
)
つた泣き声が聞えて来た。梧桐は
仄暗
(
ほのぐら
)
く、蓮は仄白く、赤ん坊の声だけが鋭い。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
冗談
(
じょうだん
)
は
止
(
よ
)
しにして、ひとつ
若旦那
(
わかだんな
)
、
縁起直
(
えんぎなお
)
しに、これから
眼
(
め
)
の
覚
(
さ
)
めるとこへ、お
供
(
とも
)
をさせておくんなさいまし
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
私は十時ころぐっすり寝込んだんですが、ふと目を
覚
(
さ
)
ますと、唸り声がする、苦しい苦しいという声がする。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
彼の
経綸
(
けいりん
)
は、彼の
不覊
(
ふき
)
なる
傲骨
(
ごうこつ
)
と共に、
寂寥
(
せきりょう
)
たる
蕭寺
(
しょうじ
)
の中に葬られたり。
滔々
(
とうとう
)
たる天下は、温かなる泰平の新夢に沈睡して、呼べども
覚
(
さ
)
むべしと見えざりき。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
一騎討ちなら英国が独逸を負かす筈はないという信念がブルドッグ将軍の話で再び呼び
覚
(
さ
)
まされたのである。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
庵のなかには、めざす丹下左膳がまだ
沈潜
(
ちんせん
)
しているに相違ないがカタリとも物音一つしないのは、寝てか
覚
(
さ
)
めてか……泰軒と栄三郎期せずして
呼吸
(
いき
)
をのんだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
人絹
(
じんけん
)
と間違っているらしいのだ。あまりひどすぎて一座みな興が
覚
(
さ
)
め、誰も笑わず、しかめつらになった。
眉山
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そのためかどうか、私はかなり早熟で、四つぐらいの年から性への興味を
喚
(
よ
)
び
覚
(
さ
)
まされていたように思う。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
それにしてももう老いさらぼえた雪道を器用に拾いながら、金魚売りが
天秤棒
(
てんびんぼう
)
をになって、無理にも春をよび
覚
(
さ
)
ますような売り声を立てる季節にはなったろう。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「別に変った御様子も見えませんでございますよ。ウトウト
睡
(
ねむ
)
ってばかりおいでなさいましてね、時々
床瘡
(
とこずれ
)
が痛いと言っちゃ目をお
覚
(
さ
)
ましなさるぐらいで……」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
自然と眠りが
覚
(
さ
)
めかかってうめいた太い男の声、それから又あの手を真赤にして玩具をいじる様に、人間の
内実
(
なかみ
)
をいじって居た髭むじゃな医者の顔、あれこれと
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ふと眼が
覚
(
さ
)
めると彼女は、遠くの
合歓
(
ねむ
)
の花の下で、紅の帯をといて、小川の水で顔や手足を洗っていた。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
姉の容色が急に
褪
(
あ
)
せてきたように思われて、彼女に対する熱烈な恋は夢のように
覚
(
さ
)
めてしまい、さらに妹のガブリエルとの結婚を父の伯爵に申し込んだのである。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
噂
(
うわさ
)
によれば、
坐忘
(
ざぼう
)
先生は常に
坐禅
(
ざぜん
)
を組んだまま眠り続け、五十日に一度目を
覚
(
さ
)
まされるだけだという。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ありていに云うと国経は、
先達
(
せんだって
)
から左大臣の測り知られぬ温情に対して何がな報いる道はないだろうかと、寝ても
覚
(
さ
)
めてもそのことを気に
懸
(
か
)
けていた矢先であった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これで、室全体がびっくりして眼を
覚
(
さ
)
まし、毛布という毛布は、激しく波形の運動を起こすのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
自己の経験をかえりみて百年があいだ
胡蝶
(
こちょう
)
となって花の上に
戯
(
たわむ
)
れてのち驚き
覚
(
さ
)
めたるごとく言った。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
眼
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めたやうだが……
此
(
こ
)
んなぼんやりした
処
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
た……遠くに
電気燈
(
でんきとう
)
でも
点
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのか知ら
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
先着の
伴牛
(
ともうし
)
はしきりに友を呼んで鳴いている。わが引いている牛もそれに応じて一声高く鳴いた。自分は夢から
覚
(
さ
)
めた
心地
(
ここち
)
になって、覚えず手に持った鼻綱を
引詰
(
ひきつ
)
めた。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
覚
常用漢字
小4
部首:⾒
12画
“覚”を含む語句
目覚
幻覚
感覚
発覚
寝覚
眼覚
不覚
覚書
正覚坊
御覚
覚束
嗅覚
覚醒
正覚
触覚
覚悟
見覚
錯覚
自覚
覚明
...