“癇走”の読み方と例文
読み方割合
かんばし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「恩に着せやしないって今云ったじゃありませんか」とお秀が少し癇走かんばしった声で弁解した。お延は元通りの穏やかな調子をくずさなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夫人の気持を知っている侍女こしもとすえまでが、御表の物音を聞くと、常には、静かな足も走って、つい、声までが癇走かんばしって欣びを告げるのだった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蓮鉢を越して向ふ側の廂房しやうばうから、眼でもましたのだらう、急に赤ん坊の癇走かんばしつた泣き声が聞えて来た。梧桐は仄暗ほのぐらく、蓮は仄白く、赤ん坊の声だけが鋭い。
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)