)” の例文
往来では彼はサモイレンコと並んで行き、その後ろに箱を抱えた補祭がつづき、一番あとから従卒がトランクを二つげてついて行く。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つれて參りますと主個あるじに言てにはかの支度辨當べんたうつゝ吹筒すゐづつげ和吉を呼で今日は吾儕わしが花見に行なれば辨當を脊負しよひともをしてと言ば和吉はかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いかめしい向ふ鉢巻をして、立っ付け袴を穿いた男が十人許り宛、舞台の上に三列に並んで、其三十人が悉く抜き身をげて居るには魂消たまげた。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と金子を渡すと、多助は金を懐に入れ、提灯をげて佐久間町のうちを出て、聖堂前にかゝり、桜の馬場へ上って参りました。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
弁慶格子べんけいごうしの広袖に丸絎まるぐけの帯を前に結び、五十貫もある鉄棒を軽々とげたその姿は可笑おかもあれば凄くもある。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その釣鐘マントの影に重たそうな風呂敷包をげているのが見えた。結び目の隙間すきまから羊歯しだの葉がハミ出しているところを見ると、果物の籠か何からしい。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
法師二『言葉も知らぬ下司げすなおやじ。その上にやいばなぞ抜身でげ、そもそも此処ここいずれと心得居る。智証大師伝法灌頂かんじょうの道場。天下に名だたる霊域なるぞ』
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
古い汚れた箱をげてよく吾家うちへ出入したことや、それからの穢い髮結が背後うしろに立つて父のあごなどをゴシ/\とやつたことは、未だに私の眼に着いて居ます。
荒甲は背を延ばして馳け寄ろうとした時に、兎と沙魚はぜとをげた訶和郎が芒の中から現れた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
いかめしい後鉢巻うしろはちまきをして、ばかま穿いた男が十人ばかりずつ、舞台の上に三列にならんで、その三十人がことごとく抜き身をげているには魂消たまげた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これをげまして、關兼元の無銘摺上げ一尺七寸ばかりの脇差をしまして、日和下駄を穿いて竹ヶ崎へ掛って参ると、とっぷり日が暮れまして、月の出ようという前で
三太夫の言葉の終わらぬうちに、二匹の伏したる黒駒は、がばと毛皮を振り落とし、スックと立ったおうなと若武者。お三婆は吹筒を持ち、五右衛門はたねしまげて、三太夫を中に取りこめた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)