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距
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さ
ふりがな文庫
“
距
(
さ
)” の例文
石川は弘前を
距
(
さ
)
ること一里半を過ぎぬ駅であるが、使のものは命ぜられたとおりに、優善が駅を去った
後
(
のち
)
に手紙を届けたのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
緑雨
(
りよくう
)
は巧に現社界の魔毒を
写出
(
しやしゆつ
)
せり。
世々良伯
(
せゝらはく
)
は少しく不自然の傾きを示すと
雖
(
いへども
)
、今日の社界を
距
(
さ
)
る事甚だ遠しとは言ふ可らず。
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
八木奬三郎氏の
實見談
(
じつけんだん
)
に據れば此岡の麓には今尚ほ
貝殼
(
かひがら
)
點々
(
てん/\
)
散布
(
さんぷ
)
して、曾て一大貝塚有りし
證跡
(
せうせき
)
を留むと云ふ。此地海岸を
距
(
さ
)
る事凡一里。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
七月、
平安
(
へいあん
)
兵を率いて真定より北平に到り、
平村
(
へいそん
)
に営す。平村は城を
距
(
さ
)
る五十里のみ。燕王の
世子
(
せいし
)
、
危
(
あやう
)
きを告ぐ。王
劉江
(
りゅうこう
)
を召して策を問う。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
濃紺
(
のうこん
)
濃紫
(
のうし
)
の神秘な色を
湛
(
たた
)
えて梢を
距
(
さ
)
る五尺の空に唯一つ明星を
煌
(
きら
)
めかしたり、彼の杉の森は彼に尽きざる趣味を与えてくれる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
それから呉青秀は大秘密で大工や左官を雇って、帝都の長安を
距
(
さ
)
る数十里の山中に一ツの画房を建てた。つまりアトリエだね。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
風来山人なんぞは、江戸を
距
(
さ
)
る海陸百七十九里半、四国の讃州高松というところから出て来た四国猿の江戸ッ子なんだ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雲霧組の
黒衣
(
くろご
)
の短刀が、遂に万太郎の体のどこかへ、その兇器を突きとおしたものか、腰かけていた石を
距
(
さ
)
ること十四、五
間
(
けん
)
まで行ッたところで
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若し潮流最も劇しく、
暴風
(
あらし
)
の力これを助長するときは、諾威国の哩数にて、渦巻の縁を
距
(
さ
)
ること、一哩の点に船舶を進むるだに、甚だ危険なるべし。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
鳥島と裏浜とはあひ
距
(
さ
)
ること僅に数町にすぎず、そのあひだ
漣漪
(
さざなみ
)
つねに穏かなり、かつ遠浅なれば最も海水浴に適す。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
兎に角芭蕉の口の悪いのには
屡
(
しばしば
)
門人たちも悩まされたらしい。唯幸ひにこの諷刺家は今を
距
(
さ
)
ること二百年ばかり前に腸
加答児
(
カタル
)
か何かの為に往生した。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしこれだけの研究によって天の河を
距
(
さ
)
るに従って星の密集の度が減ずる模様がよほどよく分って来たのである。
天河と星の数
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
双方相
距
(
さ
)
ること二十余歩、夜廻りの者は俄かに引っ返して、あとをも見ずに走り去ったので、かれらはその間に墻を乗り越えてはいったが、内心びくびくしていた。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
敵の
中央
(
まなか
)
をさして丁字形に進みしが、あたかも敵陣を
距
(
さ
)
る一万メートルの所に至りて、わが
先鋒隊
(
せんぽうたい
)
はとっさに針路を左に転じて、敵の右翼をさしてまっしぐらに進みつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
武田耕雲斎は新保宿を
距
(
さ
)
る二十町ほどの村に加州の兵が在陣すると聞き、そこで一書を金沢藩の陣に送って西上の趣意を述べ、諸藩の兵に対して敵意のないことを述べ
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お前はまだヱネチアを
距
(
さ
)
ること数
哩
(
マイル
)
の議官アンドレア・バルヂピエロの別荘にゐるのではないかと云ふものがあつたら、己は何よりも奇怪な
詞
(
ことば
)
としてそれを聞いただらう。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
思えば今を
距
(
さ
)
る二千六百年の昔、「わが」哲学がミレートスの揺籃を
出
(
い
)
でてから、浮世の嵐は常にこの尊き学問につれなかった。しこうして今日もまたつれないのである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
早く東都に
出
(
い
)
でて有志の士に
謀
(
はか
)
らばやとて、その機の熟するを待てる折しも、妾の家を
距
(
さ
)
る三里ばかりなる親友
山田小竹女
(
やまだこたけじょ
)
の
許
(
もと
)
より、
明日
(
みょうにち
)
村に祭礼あり、遊びに来まさずやと
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
苟
(
かりそめ
)
にも殿様のお側近く
勤
(
つとめ
)
をする鹽原角右衞門、炭屋の下男に
知己
(
しるべ
)
は持たんわい、成程今を
距
(
さ
)
る事十五ヶ年以前、阿部家を出て上州東口の小川村に八ヶ年程浪人していた其の折
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
日本を
距
(
さ
)
る遠からず島あり、女人国と名づく、女のみ住んで善く弓矢を用ゆ、射るに便せんとて右の乳房を枯らす(古ギリシア女人国話の引き写しだ)、毎年某の月に日本より商船渡り
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
十四日に]ポカラを出発して[四月の十六日に]チベット国境から僅か十八哩を
距
(
さ
)
って居るロー、ツァーランに着しましたが、カトマンズからここまで歩いたのが二百六十哩ばかりです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
明治
辛未
(
しんび
)
の三歳、吾が
姪
(
てつ
)
義卿
(
ぎけい
)
身を致せしを
距
(
さ
)
ること、
已
(
すで
)
に十三年なり。その間風雲しばしば変わり、
毎
(
つね
)
に中懐に
愴然
(
そうぜん
)
たること無き
能
(
あた
)
わず。十月某日は
乃
(
すなわ
)
ちその
忌辰
(
きしん
)
なり。祭りてこれに告げていう。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
市の中心を
距
(
さ
)
ること遠き公園の人気少き道を男女
逍遥
(
しょうよう
)
す。
最終の午後
(新字新仮名)
/
フェレンツ・モルナール
(著)
あの
蒼穹
(
そうきゅう
)
の彼方へ
距
(
さ
)
りゆくのだ
先駆者
(新字新仮名)
/
中山啓
(著)
「十三日。晴。又雪。風頗急、浪尤高。舟川湊(相
距
(
さ
)
る九里)へ退帆。総御人数上陸、漁家へ止宿。」車駕入京の日である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
今を
距
(
さ
)
ること三十年、一度び他村との交通を開きてより、
忽
(
たちま
)
ち衰廃して前日の強盛は夢の如く、泡の如く、再び
回
(
か
)
へすべからざるものとなりぬ。
国民と思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
実に洪武三十一年八月にして、太祖崩じて後、
幾干月
(
いくばくげつ
)
を
距
(
さ
)
らざる也。冬十一月、
代王
(
だいおう
)
桂
(
けい
)
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
民を
苦
(
くるし
)
むるを以て、
蜀
(
しょく
)
に入りて蜀王と共に居らしむ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
大菩薩峠
(
だいぼさつとうげ
)
は江戸を西に
距
(
さ
)
る三十里、甲州裏街道が
甲斐国
(
かいのくに
)
東山梨郡
萩原
(
はぎわら
)
村に入って、その最も高く最も
険
(
けわ
)
しきところ、上下八里にまたがる難所がそれです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
地平線の彼方から、真黒に野を捲いてきた大軍は、穣山を
距
(
さ
)
ること二、三里、一夜に陣を
八卦
(
はっけ
)
の
象
(
かたち
)
に備えていた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東京が
大分
(
だいぶ
)
攻め寄せて来た。東京を西に
距
(
さ
)
る唯三里、東京に依って生活する村だ。二百万の人の海にさす
潮
(
しお
)
ひく
汐
(
しお
)
の余波が村に響いて来るのは自然である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
主人の言葉に従えば、クウリンの町は此処を
距
(
さ
)
ること、ほんの
一跨
(
ひとまた
)
ぎだと云うことである。しかし実際歩いて見ると、一跨ぎや二跨ぎどころの騒ぎではない。
長江游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、
其
(
その
)
製法を知る者は日本に無いので、彼は居城
高山
(
たかやま
)
を
距
(
さ
)
る
一里
(
いちり
)
の処へ
新
(
あらた
)
に捕虜収容所を設けて、ここに百人の蒙古兵を養い、彼等に命じて異国の礮を作らせようと企てた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私
(
わたくし
)
どもは
近接
(
じき/\
)
にお馴染かと仰ゃる方もございましょうが、明治の御代に生きているものがなか/\思いもよらぬことで、今を
距
(
さ
)
ること四百十八年も前で
後土御門
(
ごつちみかど
)
帝の御代しろしめすころ
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此理
(
このり
)
を知らざる者は海を
距
(
さ
)
る事遠き所に於て鹹水貝殼の
積聚
(
せきしう
)
するを見れば頗る
奇異
(
きゐ
)
の思ひを作すべし。大人云々の説有る盖し此に
基因
(
きいん
)
するならん。果して然らは所謂「大人踐跡」とは何者を指すか。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
われ進みて、相
距
(
さ
)
る六千メートルにいたりぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ここを
距
(
さ
)
る事三千里。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
優は少し早く東京に入り、ほどなく東京を
距
(
さ
)
ること遠からぬ浦和に往って官吏をしていたが、必ずしも二弟に先だって斬髪したともいいがたい。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
甘粛は
京
(
けい
)
を
距
(
さ
)
る遠しと
雖
(
いえど
)
も、タメルランの勇威猛勢は、太祖の時よりして知るところたり、永楽帝の憂慮察す
可
(
べ
)
し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
火は
松明
(
たいまつ
)
です、黒い影は人です、やがて彼女と日本左衛門の視力を
距
(
さ
)
ること遠くないところに、その一団がまろくなって
宛
(
えん
)
たる炎のかたまりを作りました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父は祖父を
護
(
ご
)
して遠方に
避難
(
ひなん
)
し、兄は京都の英学校に居り、家族の中で
唯一人
(
ただひとり
)
の男の彼は、母と三人の姉と熊本を東南に
距
(
さ
)
る四里の山中の
伯父
(
おじ
)
の家に避難した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
春や
来
(
こ
)
しと覚ゆるなるに、我牢室を
距
(
さ
)
ること数歩の地に、黄鳥の来鳴くことありて、我耳を奪ひ、我魂を奪ひ、我をしてしばらく故郷に帰り、恋人の家に到る思ひあらしむ
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
かの赤児は地を
距
(
さ
)
る数尺の空を踏みながら、再び水中へ飛び去ろうとした。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ここは江戸を
距
(
さ
)
ること僅かに十余里、お膝元も同様なところではないか、寺社奉行の威光がここまでも及ばないのか……ナニ、一旦、向うの方の材木を伐って売り払い、そこがいけないから
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
又矩之は本所の津軽邸内に蟄してゐたのに、従之は昔望之の住んだ湯島を
距
(
さ
)
ること遠からぬ神田明神前に門戸を張つて画師をしてゐたのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
卦
(
け
)
を按じますに、まだ生きております。今、彼のいる地点は北武蔵野の一角、
入間川
(
いるまがわ
)
を
距
(
さ
)
ること遠からず、秩父から武蔵へ通う山境、
鳥首峠
(
とりくびとうげ
)
が遙か西の方に見られる峡谷の一部落。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これでは如何に才学が有って、善良な人であっても、世間を危気無しには渡って行かれなかったろうと思われるから、まして官界の立身出世などは、東西
相
(
あい
)
距
(
さ
)
る三十里だったであろう。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この時、巡査の
足下
(
あしもと
)
を
距
(
さ
)
る一
間
(
けん
)
ばかりの所で、怪しい
唸声
(
うなりごえ
)
が聞えた。
傷
(
きずつ
)
いた野獣が
喘
(
あえ
)
ぐようである。松明をそなたへ向けて窺うと、岩を枕に唸っているのは、半面
血塗
(
ちまぶ
)
れの怪しい者であった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
柏軒の世は今を
距
(
さ
)
ること遠からぬために、わたくしは柏軒の事を記するに臨んで、門人の生存者三人を得た。志村、塩田、松田の三氏が是である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
本陣付の部将松井宗信と
井伊直盛
(
いいなおもり
)
の両将は、ここの丘を
距
(
さ
)
ることわずか十町ほど先の地点に
屯
(
たむろ
)
して、主陣護衛の約束どおり千五百ばかりの兵で、きびしく固めていたはずなのである。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
凡人即ち禽獸と相距る遠からざるものとなつて
醉生
(
すゐせい
)
夢死
(
ぼうし
)
するのみであるが、聖賢仙佛の教は、皆凡人の常態、即ち人と禽獸と
相
(
あひ
)
距
(
さ
)
ること幾何もあらざる所以のものを超越して仕舞つて
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
距
常用漢字
中学
部首:⾜
12画
“距”を含む語句
距離
相距
遠距離
震原距離
遠距
測距儀
距事
長距離
長距
遠距離通信
近距離
距離間隔
半減距離
石距
着弾距離
焦點距離
有效距離
押距
射程距離
射撃距離