“一里”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いちり60.0%
ひとさと40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二人は房州ぼうしゅうの鼻をまわって向う側へ出ました。我々は暑い日にられながら、苦しい思いをして、上総かずさのそこ一里いちりだまされながら、うんうん歩きました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、その製法を知る者は日本に無いので、彼は居城高山たかやま一里いちりの処へあらたに捕虜収容所を設けて、ここに百人の蒙古兵を養い、彼等に命じて異国の礮を作らせようと企てた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……この大痘痕おおあばたばけものの顔が一つ天井から抜出ぬけだしたとなると、可恐おそろしさのために一里ひとさと滅びようと言ったありさまなんです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれに取っては、花のその一里ひとさとが、所謂いわゆる、雲井桜の仙境であった。たとえば大空なるくれないの霞に乗って、あまつさえその美しいぬしをたのであるから。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)