“険”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
けわ72.3%
けん16.2%
けは6.1%
さか1.4%
むづかし0.7%
あぶな0.7%
けはし0.7%
けわし0.7%
むづか0.7%
ホトン0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これにはんしてきたからのかぜは、荒々あらあらしいうみなみうえを、たかけわしいやまのいただきを、たにもったゆきおもてれてくるからでありました。
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふり向くと一緒に、けんのある女の目が、ぐっと三人をにらみつけた。——咄嗟に、小次郎が、バッタのように手をすり合わせて言った。
流行暗殺節 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
今度はその手錠をほどいて麻縄で縛つてみると、三郎は以前と同じやうに手首を振つてゐたが、急にけはしい眼附めつきになつて
けれど腕が太くて力のありそうなガッシリとした身体だ。今砥石で鉞を磨いでいる男は脊が低くて、痩せているが鼻先の尖ったさかしそうな男だ。
捕われ人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつもかう御元気ごげんきが無くて、おむづかしいお顔面かほつきばかりなすつてゐらつしやるのは、どう云ふものかしらんと、陰ながら御心配申してをるので御座いますが
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と男はいうと彼女の手首をつかまえて背を向けると両手で彼女の足を抱いて歩き出した。母は男の背の上で「あぶない険い。」と笑い声でいった。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
貫一はこの絵をる如き清穏せいおんの風景にひて、かの途上みちすがらけはしいはほさかしき流との為に幾度いくたびこん飛び肉銷にくしようして、をさむるかた無く掻乱かきみだされし胸の内は靄然あいぜんとしてとみやはらぎ、恍然こうぜんとしてすべて忘れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
眼をけわしくして叫んだ。私を設営隊の新兵とでも思ったのだろう。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
年紀としのころ二十六七と見えて、身材たけは高からず、色ややあを痩顔やせがほむづかしげに口髭逞くちひげたくましく、髪のひ乱れたるに深々ふかふかと紺ネルトンの二重外套にじゆうまわしえりを立てて、黒の中折帽を脱ぎて手にしつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
三面ハスベテ本郷駒籠谷中ノ阻台ヲ負ヒ、南ノ一方ワヅカニ蓮池ヲ抱ク。尤モ僻陬ノ一小廓ナリ。莫約オホヨソ根津ト称スル地藩ハ東西二丁ニ充タズ、南北ホトンド三丁余。之ヲ七箇町ニ分割ス。
上野 (新字新仮名) / 永井荷風(著)